京都発、人気のギフトは八代目儀兵衛
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京都で最も予約の取りにくいお店ともいわれている『祇園 さ々木』。その店主 佐々木浩氏に多忙の合間を縫っていただき実現した、八代目儀兵衛 橋本とのおよそ1年振りの対談です。
京料理と食文化、温暖化や食育問題・京都の現状・お米について、そしてお店の予約の事など、話題は多岐に渡りました。
第2回は、京料理の話題から、最近よく聞かれる「地産地消」について、そして、八代目儀兵衛のお米についてのご意見までを掲載しました。
2007. 2.20公開
2007. 2.23公開
2007. 2.28公開
2007. 3. 7公開
祗園料亭「さ々木」店主 佐々木浩氏
(本文中:佐)
正統に独創をひと振りしたスタイルで京都で一、二を争うほど予約が取りにくいといわれる八坂通りの板前割烹「さ々木」の店主。
繊細で彩り美しい京料理の伝統に、春夏秋冬それぞれに新しい工夫を施した佐々木氏の料理には各界の通人に愛されています。
八代目儀兵衛 橋本隆志
(本文中:橋)
京都七条に庄屋の八代目として生まれ先代より引き継がれた味覚をもつ若手米鑑定士。京の料理をこよなく愛し、全国の米愛好家の方々に、お米に対する熱いおもいをたっぷりにおいしさを表現し日々研究しつづけています。
八代目儀兵衛の、お米の詰め合わせ。色んなお米の食べ比べができます! 対談中の話題にも上りました。
左)3合×8種 厳選詰めあわせ 『嵐山』
右)3合×5種 特選詰めあわせ 『東山』
「京都で作るから京料理」。その言葉の意味をお伺いしました。
橋:
ところで、佐々木さんがテレビに出られるということは、佐々木さん自身、この料理の世界で社会的な使命を感じていらっしゃるからやと思うんですね。
例えば、「料理はこうでなくてはいかん」的な、かたい料理の考えから「この方がおいしいやん」的な柔軟な発想を料理で訴えたいところがあるような気がして。
大きな枠で捉えると、今の京料理の伝統から一歩先に出た流れを、京都から打ち出していかなあかんとか?
僕個人的には、こういう人が京都にいないと、京都の, いや、日本の料理文化が発展しないと思うんですが。
佐:
そうなんですよ、停滞してしまうんです。言葉を変えると進化がなくなるんです。
京料理でも、昔からの伝統だけを世襲していかなあかんというのもおかしな話なんです。最近でこそ、お造りに鯛とか鮪を出すお店も多いでしょ。昔はなかったんやから。
「京料理」というのれんをかけてはるお店が多いけど、その店でも必ずお造りが出てきます。
じゃぁ京都でとれる素材だけかって言ったら、そうでもないでしょ。
魚で言ったら、しめ鯖とかぐじの一夜干しくらい。今までの京都ではなかったんですよ。
橋:
そこなんですよね。
佐:
「温故知新」という言葉があって、新しいものがひとつ入ってきたら、古いものはひとつどけなあかん。
全部が全部新しいものばっかりになってしまったら、創作料理の店になってしまう。
でも、ひとつは遊び心、ひとつは京料理っいう流れを作ると、お客さんは料理を楽しんでくれはる。
だから、京料理って何かと人に聞かれたら、簡単にいうと、
京都で作るから京料理なんですよ
って、いつもそういう話をするんですよ。
皆さん笑わはるんですけど。
佐:
もっと極端な話をすると、瓢亭さんの京料理ですわ。
これと全く同じものを京都以外で食べても、京風料理にしかならないでしょ。
そこには、シチュエーションや空気や水が違うって事実がある訳でしょ。食べ物もそこで食べるから美味しいっていうのは、雰囲気もあるんですよ!
ほな、そこで逆に聞いてみますけど橋本さん、京料理って何やと思います?
橋:
えーっと僕の中では京料理っていうのは、全国で厳選された一番おいしい素材を重視した創作やと思うんです。
もうひとつは
だしの文化
ですかね。
佐:
おっしゃる通りやね。
橋:
そのふたつが京料理かなって思います。
京都の素材だけを使って出されているお店が、美味しくて流行ってるのかどうかって考えたら、別問題やと思います。
佐:
僕は、だし文化の原点は水やと思います。
京都の地下水を汲み上げてだしを取ったのが、ほんまもんの京料理やと思います。
だしの煮物文化が一番多いのは唯一、京都やと思います。
だから京料理とはだし料理, すなわち水料理って昔から言われてるのもよーわかります。
だって京料理のだしのもんは、7品の中3、4品は、必ずといっていいほどあるしなぁ。
橋:
そうですね、あんかけであったり。
佐:
その辺が、京都は独特のだし文化なんですよ。
橋:
だしか・・・。
佐:
水って大事ですもん。硬水、軟水、全く違うもんね。
京都における「地産地消」について、意見交換です!
『お米の詰め合わせ』 それもやってるんです!
橋:
それがある意味「
地産地消
(ちさんちしょう・地域生産地域消費)」ですよね。
ところで、最近「地産地消」って言葉をますます頻繁に聞くようになるんですが、この言葉って、京都の料理文化には、あんまり今までにないもんやと思うんです。
でもそれを、京都府の行政が「そうしなさい」と言ってるんですよね。
これを佐々木さんはどう思ったはるか、お聞きしたいんです。
佐:
ものすごい流行ってますよね。
でも、京都の地産地消って何ですかね?
スグキかかぶらか、大根炊いたもんか、九条ねぎか?何でしょうね?
だって、九条ねぎなんか、種だけ持っていって京都以外のところで作られても「京野菜」っていわれてるもん。
橋:
結構ありますよね。それでも京都府は京野菜と認めるんですよね。
僕の家の向かいは「せり畑」がたくさんありましたけど、今はほとんどがマンションに変わりました。
佐:
そうやで。種だけ持って行って、滋賀で作ろうが九州で作ろうが「京野菜」なんておかしな話やね。
京都の産品協会のシールを店頭に貼って、それだけで「うちは京野菜を使ってるんで安心です」とか、「安全です」とかいうのはおかしいんとちゃうかと思います。
でもそれは、京都府も産品協会もOKなんですよね。
橋:
最近多いですね。あれは違いますね。
僕らの米業界も、JAS表示をきっちりと載せなあかんようになってます。
じゃあ「産地だけでお米の味が分かるんか」とお客様も僕でも思うのに、産地だけがお米の味の指標なんですよね。従来のお米の販売方法では。
だからお米に関しても、もっと自分らで打ち出し方を提案していけば良いのに、それをしないで、産地表示だけにぶらさがってお米の商売してる人がほとんどです。
中には新潟コシヒカリブレンドって書いて、クズ米しかいれてないお米もありますよね。
売れたらそれで良いっていうお米屋は、けっこうありますよ!
佐:
それは日本人やからとちゃうか。
橋:
その考えが僕自身大嫌いなんです。自分の味を確立して、これがうちのお米の味ですって言えるような商売をしていかな、このお米業界も終わりやと思ってます。
佐:
橋本さんの言う通り!!
橋:
だから本当の価値を、自分の舌で食べてみて確かめて、自分の判断で商売していって欲しいと思うし、それを米業界の人間がもっと積極的に取り組んで欲しいと思いますね。
その後に産地銘柄がついてくるんなら、いいと思うんです。
佐:
お米の詰め合わせ
とかで自分の舌で食べ比べてみたらええんとちゃう? だって日本人やからこそ、それは分かる訳やろ。
日本人の味覚は本来、世界レベルでも高いんやで。
橋:
お米の詰め合わせ
ですか?それもやってますよ!
佐:
色々何でもやんなー(笑・感心)。
さ々木さんのお店は、五感全てが満足できるんです!
橋:
ここしばらく「食文化」ってところでいろんな方と話していると、本当に味を分かって食べてる人が少ないなと思うんです。
京都の一部の料亭さんは、料理をぱっと出されて味の分かるやつだけが食べたら良いって感じがあるような気がするんです。その味が分からんかったら、別にうちの客じゃないよっていう感じで。
橋:
偉そうに言う訳じゃないいですが、さ々木さんのお店がよその店と大きく違うところは、素材をお客さんにこと細かく説明してイメージを持たせるところで、そこが一番の売りかなっと思うんです。
僕が気に入ってることがありまして、それはトロの説明なんです。
ずっと頭に残ってるんです。
「これはうちの名物です。このマグロは青森の大間産で、寒流と暖流がぶつかりあうところで、一本釣りで釣りあげたマグロなんです。そしてこの部分は一匹から僅かしか取れないところをお造りにしたもんなんですよ」って言われたら、食べる前にそのイメージが想像できますし、一つの素材を五感で楽しんで、味わう事ができるんですね。
橋:
「ああ美味しそうやな」と思わせるシチュエーションと食べることによって、色んな付帯的な要素が付いてきて、五感全てが満足できるところを積極的に取り組んでいらっしゃるのが本当に素晴らしいと思います。
そこに、お客様との一体感があるのかなと思います。
だから、佐々木さんに行かれたお客様の感想コメント見ると「満足して楽しんで帰れました」っていうのがほとんどなんですよね。
佐:
ありがとうございます。
橋:
でも、正直お米に関しては、味の違いが分からない人も最近多くなってきてるのが残念です。
僕もできるかぎり、お客様に分かりやすくお米の味が伝えるような表現方法をさらに考えていってるんですが。
ご飯の味・「銀シャリ」・精米方法についてお話しました。
橋:
ちなみに佐々木さんは、ご飯ってどういうときに一番味を感じますか?
佐:
味ですか、ずばり冷やご飯になった時!
橋:
そこですよね。僕もそれを多くの方に分かってもらいたいと思います。
ところで、うちのお米の味は・・?
佐:
美味いなぁ。
橋:
あれちょっとね、色々チャレンジしてるんですよ。
精米に対しても特許を申請してるんですよ。
佐:
ほんま、色々よーやってるなー。
橋:
お米に対して、できることをとことんやりつくしていくのが、僕の生きがいですから。
「銀シャリ」
って言葉があるやないですか。
佐:
うんうん。
「銀シャリ」
って、誰にでも聞こえの良い言葉やね。
橋:
炊きたての時も、冷めた時も光ってるのが
「銀シャリ」
やと思います。
じゃあ、それが一般の精米機で出来るかっていったら、なかなか難しいんです。
佐:
精米って、ほとんどの人は玄米から白米に皮を剥くぐらいにしか思ってないわな。
橋:
精米如何でお米の味が変わるんです。
魚でもそうだと思うんですが、包丁の切れ目の入れ方ひとつで、食感が変わると思うんです。
橋:
お米も、玄米の切れひとつで、炊きあがりが変わってくるんですよ。
僕が求めてるのは、水分ロスをなくしてお米に負担をかけずに、玄米の皮を剥げたら良いなということなんです。
佐:
何で取ってんの?
橋:
セラミックです。
通常でしたら、板ひとつでお米同士の摩擦で取るんですけど、僕の開発した板はセラミックで微粒のでこぼこが付いているんです。
その部分でも剥いてあげる。そしてお米に少しだけ傷を付けてやる, そうすることによって、お米の中に水分が入りやすくなります。
お米って、電子顕微鏡で見たら実は表面がぼこぼこしてるんです。
佐:
そやと思いますわ。
橋:
そのぼこぼこについてるヌカも取ってあげると、研ぐのも楽ですし、炊き上がりも艶のあるご飯ができるんです。
実はご飯の表面に水の膜を張るのが艶なんです。
佐:
そやね。だから冷やご飯になったら艶がなくなる。
何でもやってんねんねー。
お父さん抜いたなぁ(笑)。
橋:
いやいや、父はもっと上なんで(笑)。
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次回、お楽しみに!
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