最終更新日:2024-04-24
2024年1月24日水曜日、東京銀座にて八代目儀兵衛主催の「お米番付 第10回記念大会」が執り行われ、今年一番“甘い”お米が決定した。開催10回目の節目となる今回は、例年の表彰式に加えて、就農5年以内で良食味のお米づくりを追及する生産者さんを表彰する「U-5部門」も追加され、若手からベテランに至る生産者さんが集った。その他に、お米業界の関係者も多数来場され、最後のトークセッションでは農林水産省副大臣の鈴木憲和さんを交えて、これからの日本のお米について各々の立場から意見交換を行う時間が設けられた。
※トークセッション前半 農林水産省副大臣 鈴木憲和さん×八代目儀兵衛代表 橋本儀兵衛はこちら
※トークセッション後半 新規就農生産者×お米番付歴代受賞生産者はこちら
開催10回目を迎える「お米番付」とは
“人が五感で感じるおいしさ”を追求した、八代目儀兵衛主催のお米のコンテスト。他の多くのお米のコンテストでは、エントリーされたお米を機械による数値測定でふるいにかける。しかしお米を実際に食べるのは機械ではなく人間。そのため「お米番付」では一次審査から機械を一切使用せず、全て人による実食で審査を行う。審査基準は、ツヤ、白さ、香り、甘さ、粘り、食感、喉越し、の7つ。日本米穀小売商業組合連合会(日米連)に認定された八代目儀兵衛のお米マイスターが選定していき、最後は食のプロも交えて日本一おいしいお米を決定する。
例年の「お米番付」に加え、本年は新しい取り組みとして、就農5年以内で良食味のお米づくりを追及する生産者さんを表彰する「U-5部門」も追加した。新しい世代の生産者さんを後押しすることで、これからの日本のお米づくり全体の食味向上及び底上げになり、それが未来のお米づくりにつながると八代目儀兵衛は考えている。
本大会は、表彰状を渡して終わりではない。受賞をした生産者さんには、八代目儀兵衛から消費者さんとつなぐためのサポートを行う。たとえば、受賞米を多くの方へ召し上がっていただくことで、生産者さんの“想い”を伝えるきっかけづくりを行っている。その取り組みのひとつとして毎年、受賞したお米は米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗で提供をおこなっている。さらに今回からは、受賞した生産者さんの海外輸出支援も行う予定だ。近年お米の消費量が毎年約10万トン減少しているという現状を受けて、日本の食料自給率及び食料自給力の向上、そして生産者さんの所得向上につなげていくことができれば、と考えて用意した。
最終審査、食のプロたちによる実食の様子
お米番付の審査方法は、全てのお米を全く同じ条件で炊き、どのお米か伏せた状態で審査員が食べ比べ、7つの項目それぞれに点数をつける、というやり方だ。今年は全国の生産者さんから197点のお米が集まり、そのうち2回の審査を通過した12点のお米を最終審査会にて選んでいった。審査員はフードコラムニスト門上武司 さん、「祇園さゝ木」店主の佐々木浩さん、銀座「てんぷら 近藤」店主の近藤 文夫さん、「鮨よしたけ」店主の吉武 正博さん、そして八代目儀兵衛の橋本儀兵衛、橋本晃治というおいしいお米に厳しい食のプロたち。毎年顔馴染みなこともあり、審査前に集合すると仲良く談笑が始まった。
審査が始まると、先ほどまでの和やかな雰囲気とは一変。各々真剣な面持ちでお米と向き合う。まずは炊き上がったお米を光に照らし、角度を変えながら見つめる。次に鼻を近づけ香りを判断する。周囲の微かな匂いに遮られないように、手で覆うようにして何度も確認する姿もあった。そして最後に口に含み、咀嚼し、飲み込む。視覚などから入ってくる他の情報に邪魔されないよう、目を閉じて全身の神経を味覚と嗅覚に集中させる。
基準米となる滋賀県のコシヒカリの点数を6点とし、専用のシートに点数を入れていく。流石、最終審査にもなってくると8~9点とレベルも高い。シートの一番下にはコメントを記載する欄があり、点数だけでは表し切れないおいしさについても記述していく。これを1回15分で3回繰り返すことで精度を高め、ついに審査結果が決まった。
一年の節目となる、表彰式
いよいよ始まる表彰式。会場にはベテランの生産者さんに加え、今年から追加された「U-5部門」の受賞者である就農5年以内の若手生産者さんもいる。開会前はどの生産者さんも緊張した面持ち。表彰式の時間は生産者さんにとって改めてこの一年を振り返る時間だ。
名前が呼ばれると、嬉しそうだったり悔しそうだったり、一人ひとりから様々な表情が現れる。結果を受け止めて来春からのお米づくりに向かって歩み出す、ここがひとつの節目となる。受賞者全員の発表が終わると、審査員から「他の食材と違って水を加えて調理するだけで、色艶、食感、甘さ、喉越しが生まれ、様々な感動を味わうことができるのはお米だけ。日本のお米の価値と、それを作り上げる生産者さんの誇りと努力を改めて感じさせてもらいました。」という総評の言葉があった。
※映えある最優秀賞に輝いた 広島県山県郡北広島町「いのちの壱」北村 弘和 氏のインタビュー記事はこちら
日本のお米のこれからについて、立場を超えて共通する一つの思い
2013年からコロナ禍を除いて毎年開催し続けた本大会は、ついに今年で開催10回目を迎えた。これまでに大会を継続するかどうか迷ったこともあったが、こうして節目となる記念大会を開催できたのも、「開催をやめないでくれ」と言ってくださる生産者さんの支えがあったから。今年は夏の異常気象によるお米の食味への影響が危惧されていたにもかかわらず、例年以上においしいお米が全国から集まった。審査委員長の橋本儀兵衛は「いかに皆さんが手をかけてお米を育てられているか、今年は特に感じさせていただいた年となりました。」と、生産者さん一人ひとりの努力があって今年もおいしいお米があるという感動、そしてこれからのお米の未来に対する希望について語った。
日本のお米を支えるのは生産者さんだけではない。昨年発売した八代目儀兵衛監修のおにぎりを販売する株式会社セブン‐イレブン・ジャパンさんの他に、弊社と同じ志を持つ多数の企業様も来賓としてお越しくださった。そのうちの1社として、海外への輸出支援にご協力いただく、株式会社シティー・スーパー・ジャパンさんにもお越しいただいた。同社は「日本のライフスタイルを伝える」というコンセプトのもと、香港をはじめとするアジア圏に店舗を構える。表彰式の後のトークセッションでは農林水産省副大臣の鈴木憲和さんにもお越しいただき、日本のお米のこれからについて会場が一つとなって考える時間を持つことができた。
※トークセッション前半 農林水産省副大臣 鈴木憲和さん×八代目儀兵衛代表 橋本儀兵衛はこちら
※トークセッション後半 新規就農生産者×お米番付歴代受賞生産者はこちら
近年「お米の時代は終わった」と嘆かれることが多い。しかし日本の食料全体の自給率はカロリーベースで37%(2023年時点)の中、お米だけはほぼ100%を誇る。さらに海外では、日本スタイルのお弁当やおにぎりブームも巻き起こっている。そして、今回の「お米番付 第10回記念大会」で最高においしいお米が日本にはあることを再確認できた。大会が終わる頃には、審査員をはじめとする多くの来場者から「日本のお米はまだ終わりではない」「お米の未来は明るい」と前向きな言葉が自然と生まれた。お米に携わるそれぞれの立場を超えて「日本のお米業界に新しい風を吹かせていきたい」というひとつの思いがこの日「お米番付 第10回記念大会」会場に集結した。