『お香典は、母へ寄せてくださったお気持ち。辞退せず、受け取ろう』-プロと実体験から考えるお葬式 vol.2 お香典編

『お香典は、母へ寄せてくださったお気持ち。辞退せず、受け取ろう』-プロと実体験から考えるお葬式 vol.2 お香典編

最終更新日:2023-05-17

八代目儀兵衛当主・橋本隆志が母を亡くしたのは、2021年4月のことでした。初めて喪主側で運営するお葬式(喪主は父)では、たくさんの疑問や戸惑いに出会いました。この連載では、橋本の実体験を振り返り、プロからのアドバイスと共にお葬式のリアルをお伝えします。今回は、辞退すべきかどうか悩む「お香典」についてのお話です。

橋本隆志

八代目儀兵衛当主。ガンを患った母を、2021年4月に亡くした。姉と弟がいる長男で、家業の当主でもあったことから、喪主の父を支えながらお葬式を執り行った。大人になってから初めてのお葬式で戸惑うことも多かったが、岡田さんのフォローで満足いくお葬式を上げることができた。

株式会社公益社 岡田裕章さん

橋本家の葬儀全般をサポート。細やかなフォローと気遣いで遺族を支える。この記事では、実体験にプロの立場からアドバイスをいただく。

新聞を参考に、お香典は辞退を考えていた

橋本:お葬式と言えば、参列者の皆さんからいただくお香典について悩む方も多いんじゃないかなと思います。

岡田:そうですね、辞退を含めてご相談いただくことが多いです。

橋本:私たちも最初、お香典を辞退するつもりでいたんです。うちでは京都新聞をとっているんですが、訃報欄のほとんどに「お香典は辞退いたします」って書いてあったので、そういうものなのかと思っていました。

岡田:確かに地域によって、多少お香典に対する考え方の違いはあります。ただ、皆さんがそうしているからといって、右に倣う必要はないですよ。

急遽、香典を受け取ることにした理由

橋本:当初の時点では辞退が当たり前だと思っていたから、岡田さんにはお香典は辞退の方向でお願いしていたんですよね。やっぱり受け取りますって変更したのは、お通夜の最中でしたっけ?

岡田:あれはお通夜の直前でしたね。

橋本先ほどお話した通り、元々は社葬にするつもりでした。でも、時勢柄家族葬という形を選んだんです。すると、参列したいと仰っていただいても、現実にご参列いただけない方々も出てきて……。

参列もお香典も、と、お断りを続けるのも心苦しくなったんです。せっかく母に向けていただいた気持ちを、私たちが受け取らないのも、ちょっと違うのかなと思いました。だから、お香典は受け取るべきなんじゃないかと考え直したんです。

岡田:それはとても良い決断だったと思います。お香典は、故人様を偲ぶ気持ちを形に表したものですので、差し支えがないのなら受け取っていただきたいです。その方が、お相手様もきっと喜ばれるでしょうから。

橋本:そうなんです。事前にお香典・供花は辞退しますってアナウンスしていたんですが、持ってきてくださる方がとても多くて……。受け取る方向にかじを切ってよかったと思いました。多くの方が母との別れに何かをしたいって考えてくださってるんだと実感できて、改めてこみ上げるものがありました。

もちろん、事前のアナウンス通りにお香典をお持ちにならなかった方にもとても感謝しています。私たちの考えを尊重してくださった結果ですから。どちらにしても、母や私たちのことを気遣ってくださる優しさはとても伝わってきました。お葬式って、あんなに人の温かさを感じられるものなんですね。

岡田:そうですね。故人様とのお別れの場であるとともに、故人様を中心にして人々がつながる場でもあると思います。お香典も、そのつながりの一つと言えるかもしれませんね。

プロからのアドバイス

お香典は、故人を偲ぶお気持ちで準備するもの。また、大変な状況の遺族の皆様の助けになるようにという、相互扶助の意味があります。お心遣いを受け取ることが、お相手への感謝の気持ちを示すことにもつながるので、受け取ることをおすすめしています。

お香典受け取りと辞退は、どちらが多い?

橋本:うちの場合は、辞退とか受け取るとかでバタバタしちゃったんですが、一般的にはどうなんでしょうか? 辞退する方と、受け取る方の割合とか……

岡田:そうですね。辞退の方は確かに多いです。けれど、一時期のようにどこもかしこも「辞退です」っていう状況ではないですね。最近は受け取る方もまた増えてきました。

橋本:今になって受け取る方が増えてきているって、ちょっと意外ですね。

岡田:辞退をされる理由として多くあげられるのが「その後の手間」のご心配なんです。それが最近では大分軽減されてきたので、受け取る方が再び増えてきたんですよ

橋本:その後の手間というと、香典返しのことですか。

岡田:昔の香典返しと言えば、お品選びから実際にお届けするまで、結構手間と時間のかかるものでした。あちこちのお店に品物を見に行ったり、一人ひとりの家におうかがいしたり……。そのころの記憶が強い方は、ただでさえ辛い時なのに、そこまではやり切れないということで、辞退を考えることが多いようです。お礼をきちんと返せなければ、それこそ失礼になってしまうから、というご不安がおありなんですね。

橋本:確かに、きちんとお返しができる自信がなければ、受け取ることも負担に感じてしまいそうですね……。

岡田:ですが、世の中は便利になったものです。今はオンラインで頼むこともできますし、一か所でまとめて発送できるお店が多くありますよね。お香典をくださった方をリスト化しておけば、あとはそれほど手間はいりません。そうお話しすると、「それなら、お気持ちをありがたく頂戴しよう」と仰る方も多いですよ。

橋本:なるほど。だから今は受け取る方が増えているんですね。

プロからのアドバイス

何となくイメージで、香典返しには労力がかかるものと思っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが今は、便利なサービスがたくさんありますよ。

特に、家にいながら注文から配送まで完結できるインターネットショップは便利です。お品選びに自信がない場合には、法事専門の商品を探すと安心です。メールなどで品物選びの相談にも乗ってくれることサービスもあるので、ぜひ活用してみてください。 また、そういうところは掛け紙や挨拶状なども用意してくれるところがほとんどなので、自分ではよく分からないマナーもフォローしてもらえます。

八代目儀兵衛でも、法事専門ギフトシリーズ「偲」をご用意しています。挨拶状や掛け紙は無料、不安や疑問には経験豊富なスタッフがお答えしますので、安心してお任せください。

▼マナーについての相談はLINEでもお受けしております

八代目儀兵衛LINE公式アカウント

一人ひとりへ、感謝を届けるためにリスト化は大切

橋本:先ほど「リスト化しておけば、香典返しも楽になる」ってお話がありましたが、私たちが最も気を払ったのもやっぱりそこでした。

急遽受け取る方向にかじを切ったのもあって、とにかく記入漏れがないか、受付の方にもよくお願いしましたね。いただいたお気持ちに対して、一人ひとりに、ちゃんとお礼を届けたかったので。

岡田:あとから整理するのは大変ですからね。受付できちんとリスト化しておくのが一番だと思います。

橋本:うちの場合はその場でPCでつけていたんですが、普通はどうするんですか?

岡田:そうですね。PCが使えたらもちろん便利ですが、準備ができない場合には、手書きで香典帳に記入するのがいいと思います。

また、お香典を受け取る場合は現金を扱うので、受付は信頼できる方にお願いするのが通例です。具体的には、少し関係の遠い親族などですね。間違いのないように、芳名帳への記載を確認してお香典を受け取る方、返礼品をお渡しする方、お香典を確認しリストに記載する方と、3人くらいで役割分担をするとスムーズでしょう。

橋本:受付できちんと管理してもらったから、その後の香典返しも間違いなくお贈りすることができました。やっぱり身近な親族だけでは対応できないこともありましたから、本当に感謝しています。

岡田:あとは、お葬式で直接いただくだけでなく、後から別でお香典を送ってこられる方もおられます。そちらも届いた時に記入を忘れないようにしてください。

プロからのアドバイス

香典返しに使うためのリスト作成には、以下のような必要事項を記入します。記入は手書きでも構いませんが、慣れているのであれば、PCでのリスト化をおすすめします。ネットショップで香典返しを購入するときに便利ですよ。

<リストに記入する事項>

●お名前
●ご連絡先(住所・電話番号)
●お香典の金額
●供花やお供え物・弔電をいただいた場合にはそれも併せて記載

※葬儀の後でいただいたお香典についても記載を忘れないようにしましょう

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