“誰が食べてもおいしいお米”を目指して歩み続けるー「お米番付2022」最優秀賞 武山昌彦さん

“誰が食べてもおいしいお米”を目指して歩み続けるー「お米番付2022」最優秀賞 武山昌彦さん

最終更新日:2023-11-02

 日本全国、星の数ほどあるお米の中から五感で選び抜かれた最優秀賞。2022年のトップに輝いたのは北海道の北緯44度に位置する北限、上川郡剣淵町で栽培された武山昌彦さんのゆきさやか。受賞インタビューにて武山さんのおいしいお米作りの挑戦と試行錯誤に迫って来ました。

最優秀賞受賞を受けてー今後の目標

 最優秀賞の盾を両手に抱え、「お米マイスターとお米のプロに選んで貰えたと胸を張って話せます。目標達成ができました」と顔を綻ばせる。武山さんが目指すのは“誰が食べてもおいしいお米”。自身のお米のおいしさを確かめ、証明するためにこれまで様々な食味コンテストにエントリーして来たそう。その中でも、今回お米番付2022の最優秀賞に選ばれたことが、武山さんの中で特に大きな意味を為す。すぐにお世話になっている人に伝えて喜ばせたいと語る。そしてまだ自分のお米を口にしたことがない消費者にも届けたい、と今後の目標も見えて来たそうだ。

ゆきさやかを育んだ、上川郡剣淵町の水・気候・大地

 武山さんの田んぼには、一級河川である天塩川の源流が流れる。2本の川が合流する場所にちょうど位置するため水に恵まれている。冬はマイナス30度にもなる豪雪地帯。一方夏は30度以上になることもあり、この寒暖差がお米の甘みを増強させる。暖かくなると流れてくる雪解け水はミネラル分が多く、お米にたっぷり栄養を与える土壌を作る。お米づくりに適した水、気候、大地が武山さんの田んぼには揃っている。

希少品種、ゆきさやか栽培の挑戦

 全国的にも生産者が少なく希少なゆきさやかを武山さんが栽培し始めたのは2年前。その1年前に道の駅で何気なく購入したことが栽培のきっかけだった。粘りと甘みがありながらもあっさりとしつこさがなく、朝から夜までおいしく食べることができる。どんなシュチュエーションにも合わせやすいオールマイティなゆきさやか。更に大粒で喉越しが良く、武山さんは一瞬で虜になったそう。奨励品種は行政からの優遇措置が多いけれど、ゆきさやかはまだその中には入っていない。それでもおいしいお米を消費者に届けたいという思いが強い武山さん。ゆきさやかをどうしても自身でも作りたいと北海道の農業試験場に掛け合い、種をもらって栽培を始めた。

試行錯誤を繰り返して実ったお米

 育て始めて突き当たった壁が、ゆきさやかは病気にかかりやすく栽培が難しいこと。ばか苗病というカビの一種に悩まされた。この病気は苗一本が罹ってしまうと他の苗にも伝染してしまう。消費者に安心しておいしく食べてもらうために毎年試行錯誤を繰り返す。農薬を必要以上使うことは避ける、という拘りを持っているため、一般的な慣行栽培よりも農薬の量を半分ほどに抑えながら、今年も栽培に苦労されたのだとか。最終的に本来収穫する予定だった面積の半分になってしまったそう。

 “誰が食べてもおいしいお米”という目標に向かって、毎年歩み続ける。「来年も今年の栽培を参考にして、更においしいお米づくりに挑戦したい」と話す武山さん。逆境に突き当たっても折れず、実るほど頭を垂れる稲穂のように、謙虚さが伝わってきた。お米番付2022最優秀賞を受賞した武山昌彦さんは、正に凛とした稲のような人だった。

まだ食べたことのない消費者に

2月11日(土)から2月12日(日)まで、米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗にて武山さんのゆきさやかが提供される。自分のお米をまだ食べたことのない消費者に食べて欲しい、という武山さんの目標。その最初の一歩が実現する。

【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
三ツ星日本米穀商連合会認定お米マイスター取得

広島女学院大学栄養学科を卒業後、米卸業者に就職。同社で社長秘書・広報・営業とマルチに活躍。上京後、米麹や日本酒などの米加工食品について学ぶ。現在は「お米ライター」として、お米そのものから米加工食品まで、お米の魅力を発信し続けている。ライターの傍ら、お米由来の化粧品・米麹甘酒の広報支援やお米のECサービス、日本酒新ブランドの立ち上げに携わるなど、お米のマーケティング支援においても幅広く活動中。

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