人が食べて”本当においしいお米”の輪を広げ、消費者へ届ける「お米番付」第12回大会

人が食べて”本当においしいお米”の輪を広げ、消費者へ届ける「お米番付」第12回大会

最終更新日:2026-02-02

2026年1月17日、京都にて「お米番付」第12回大会の最終審査会、表彰式及び生産者交流会が開催された。今年で12回目を迎えた本大会。全国32道府県から届いた190品のお米が集まり、厳正な審査の結果、12名の受賞生産者の各賞が決定した。当日は受賞生産者に加えて、本大会にエントリーした生産者も会場に数多く集まり、交流を深めた。また今回は、初めて団体部門が設けられ、個人の枠を超えた地域やチームとしての取り組みも評価されるなど、”本当においしいお米”の輪が広がる時間となった。

人の五感でお米のおいしさを見極める

「お米番付」は、人が食べて”本当においしいお米”を見極めるコンテストだ。多くのお米のコンテストでは成分分析計が審査に使用されるが、「お米番付」では一次審査からすべて、一般財団法人 日本米穀小売商業組合連合会に認定されたお米マイスター約50名が実際に食べて審査する。今回の第12回大会では、総エントリー数190品の審査にあたり、約600釜のお米が炊かれた。

審査項目は、「香り」「ツヤ」「白さ」「食感」「粘り」「甘み」「喉越し」の7つ。審査員たちは、滋賀県産の「コシヒカリ」を基準米として、比較しながら一つずつお米を評価していく。こうした厳格なルールのもと、人の五感だけでお米のおいしさを見極めていく。

新たな舞台で行われた最終審査

今年の最終審査会は、2025年9月に京都市下京区にある「炊き立て土鍋ごはん OMOYA 八代目儀兵衛」で行われた。最終審査委員長を務める八代目儀兵衛 当主・橋本儀兵衛氏をはじめ、日本料理「衹園さゝ木」店主・佐々木浩氏、フードコラムニストの門上武司氏、「創作中華 一之船入」オーナーシェフ・魏禧之氏、「鮨 楽味」握り手・野村一也氏、八代目儀兵衛 Rice Master・橋本晃治氏など、食のプロフェッショナルたちが集結し、厳正な審査が執り行われた

橋本儀兵衛氏は「この『お米番付』は、私たちの舌で本当においしいと感じたお米が評価される場です」と話す。日本でおいしいお米といえば、多くの人が新潟県産のお米を思い浮かべる。しかし本大会の受賞米は今回に限らず毎年、有名な産地銘柄以外のお米もたくさんノミネートされてきた。

審査が始まると、会場は緊張の雰囲気に包まれる。五感が研ぎ澄まされるなか、釜を開けた瞬間の炊きたてのごはんの甘い香りが際立つ。ごはんには、お腹をいっぱいにさせる香りと、お腹が空いてしまう香りの2種類があるが、この香りは明らかに後者だ。「さすがは最終審査に残ったお米は香りからして違う」と、食べる前からその違いを肌で感じさせられた。

本大会の審査員を毎年務める佐々木氏は、「和食って最後は絶対に『ごはん』なんですよ。だからこそ心に残るお米を届けたいという思いがある」と、自身が「お米番付」の審査に携わる意義について語った。

地域での努力を表彰、新設の団体部門

最終審査会のあと、表彰式及び生産者交流会は京都東急ホテルで行われた。表彰式では、まず本年から新たに設けられた団体部門の発表があった。団体部門を新設した理由は、組織的な取り組みが広がることで”おいしいお米の産地”を地域全体へ広げていくため。橋本儀兵衛氏はこの団体部門新設の狙いについて「これまでの『お米番付』は、個人の生産者を盛り上げることに特化してきたが、個人の生産者を輝かせるという従来の目的に加え、団体を表彰することで、おいしいお米づくりをより地域に広げ、おいしい産地そのものを拡大していきたい」と語った。

団体部門の表彰では、金賞として福岡県朝倉市 株式会社ウィング甘木「にこまる」銀賞として福島県須賀川市 いわせの錦秋米生産部会「いのちの壱」が選ばれた。ウィング甘木には、「お米番付」で過去に何度も受賞歴のある北嶋將治さんが所属している。北嶋さんの名前が呼ばれると、会場全体からわっと喜びの声が湧き上がった様子から、多くの生産者から慕われていることが伝わってきた。

ウィング甘木の北嶋さんは、太古から信じられてきた、お米を取り巻く地域全体の自然の循環を大切にしながらお米づくりを行う。壇上では「日本人はお米を食べて大きくなるんだということを大切にし、皆さんで長く続けていけたらと思っております」と語った。表彰の言葉からは、北嶋さんのお米づくりを通じて日本の食文化を守り続けたいという想いが伝わってきた。

最優秀賞は山形県南陽市・黒澤拓真さんの「つや姫」

個人部門の受賞発表では、まず12名の受賞生産者が壇上に呼ばれた。おいしいお米をつくる、日本全国各地から集まった生産者たちが並ぶ姿は壮観だ。

最優秀賞に輝いたのは、山形県南陽市の黒澤拓真さんが育てた「つや姫」。黒澤さんは3年前にも「夢ごこち」で優秀賞を受賞しており、今回は見事、別品種で最優秀賞を受賞した。会場からはこの日一番の温かい拍手が湧き起こった。表彰授与の際に、他の生産者が黒澤さんの写真を撮ってあげる姿も見られた。

壇上に上がり「非常にびっくりの一言です」とまずは受賞の喜びを語った黒澤さん。そして昨今のお米業界の厳しい状況について「私たち生産者にできることは、お米をつくり続けてお客様にお米を届け続けることだと思います。この結果に甘んじることなく、令和8年産のお米づくりも一生懸命頑張っていきたいと思います」と言葉を残した。時代がどう移り変わろうとも、生産者にできることはお米をつくり続けること。それが心に残る”本当においしいお米”であれば、人々はお米を食べ続ける。黒澤さんの言葉に、他の生産者も次のお米づくりへの意気込みを新たにした。

最終審査委員長の橋本儀兵衛氏は、今年最終審査に残った12品のお米を振り返り、今年は特に「甘さ」が印象的だったと語った。一方で、昨今の異常気象の影響についても言及があった。「温暖化の影響で、お米全体の味は数年前に比べて低下傾向にあります。しかしその一方で、トップクラスのお米の品質は昔以上に向上していると感じます。全国各地から”本当においしいお米”が出てきています」と語る。厳しい環境の中でもおいしさを追究し続ける生産者たちの努力が、審査を通じて伝わってきたそうだ。

受賞者だけではない、生産者同士の交流の場

今回の場には、受賞者以外にも「お米番付」にエントリーした生産者や、過去に受賞歴のある生産者たちも参加した。会場のあちこちで、ライバルであり同志でもある生産者たちの、お米づくりの話や近況報告に花が咲く。普段は離れた土地で黙々と田んぼに向き合う生産者だが、年に一度情報を交換できる貴重な時間となった。

「お米番付」にエントリーし続ける生産者は多い。その理由を参加者に尋ねると、「自分のつくる品種は、他のお米のコンテストでは機械審査の性質上、どうしても選ばれることが難しいと感じている。でも食べた消費者さんからは『おいしい』と言ってもらえることが多いんですよ。お米は人が食べておいしいと感じるもの。だから『お米番付』にはエントリーし続けています」と語る。

参加者同士で受賞米を食べ比べる新企画

今回の交流会では、新たな企画も用意されていた。開場前、交流会の参加者たちが受賞米12種をブラインドで食べ比べ、おいしさを評価するというものだ。

会場審査で1位に選ばれたのは、北海道瀬棚郡今金町の吉本辰也さんの「ゆめぴりか」。最終審査員による評価とはまた違う視点で、生産者同士が互いのお米を味わい、評価し合う。それは生産者同士が競い合いながらも認め合う、この大会ならではの温かな光景だった

交流会の中では、参加した生産者同士で今年自分の田んぼで収穫したお米を持ってきて、仲のいい生産者に「帰ってぜひ炊いてほしい。感想を教えてほしい」と個人的に渡し合う姿もあった。

閉会後の帰り道では「次回こそ選ばれるよう、他の生産者さんと今日話したことを糧に、今年のお米づくりも頑張りたい。この『お米番付』を通じた生産者同士のつながりはとても刺激になるから、ありがたいです。受賞者として選ばれなくても、ぜひまた交流会に参加したいと思っている」と前を向く生産者の姿があった。

人が食べておいしいお米をつくり、消費者に届けたい。その熱い想いを持つ生産者たちが集い、意見を交わし、互いに刺激を与え合う。「お米番付」の交流会は、そんな熱い想いが交差する場となった。

これからも、生産者と消費者をつなぐ架け橋として

「お米番付」は、コロナ禍で大会の継続を検討したこともあった。しかし、生産者からの「『お米番付』を続けてほしい」「いつになったら再開されますか」という声に後押しされ、今日まで続けることができた。

そして今回、団体部門の新設により、個人の生産者だけでなく地域やチームとしての取り組みも評価される場が生まれた。さらに、ブラインドでの試食企画をはじめとする生産者同士の交流がこれまで以上に深まり、おいしいお米をつくりたいという想いを持つ仲間の輪が広がった。

橋本儀兵衛氏は「生産者の皆様、そして日本の米農業をきちんと支え、おいしいお米を消費者に届ける。その大義を持って、私たちは本大会をやり続けなければならないと思っています」と言葉を残した。心を込めておいしいお米を育てた生産者と、消費者をつなぐ架け橋として、「お米番付」ではこれからも人が食べて”本当においしいお米”を発掘し、届け続けていく。

【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
日本米穀商連合会認定ごはんマイスター

広島女学院大学栄養学科を卒業後、新卒で米卸業者に就職。その後上京し、食品飲食業界にて栄養士・マーケターとしてお米の魅力を発信する。米卸業者での社長秘書、広報、営業としてのキャリアスキルを活かし、お米を主軸に置いた日本の伝統的な食文化を見直し、そこから次世代を見据えたお米の価値を創造していくなど、その活動の幅を広げている。日本米穀商連合会の「ぽかぽかお米びより」にてお米生活コラム「NaNaKaの穂のぼのMyライフ」連載中。

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