自然への感謝の結晶、稲と共に育む“大粒ダイヤモンド”ー「第10回お米番付」優秀賞:北嶋將治さん

自然への感謝の結晶、稲と共に育む“大粒ダイヤモンド”ー「第10回お米番付」優秀賞:北嶋將治さん

最終更新日:2024-03-22

2023年も開催された八代目儀兵衛の「お米番付 第10回記念大会」。節目となるこの年に優秀賞に選ばれたのは、福岡県朝倉市の北嶋將治さんから出品された、“大粒ダイヤモンド”の異名を持つ「にこまる」でした。八代目儀兵衛「お米番付」で今年も受賞を果たした北嶋さんから、今回はご自身の稲との向き合い方以外に、これからのお米業界の未来を担う若手生産者さんへのメッセージも伺ってきました。

幸福感に包まれる“大粒ダイヤモンド”

北嶋さんの田んぼは、緑豊かな福岡県朝倉市にある。ここで収穫される北嶋さんの「にこまる」の特徴はなんと言っても、口の中で放つ圧倒的な粒の存在感。通常の粒の大きさの1.5倍にもなる大粒で、品種名を言われないと誰も「にこまる」と分からないほど。一粒一粒にもハリがあって、噛めば噛むほど独特の甘さと豊かな香りが広がる。食べた人を幸福感で包み込む北嶋さんのお米は、炊き上がりがダイヤモンドのように輝くことから、“大粒ダイヤモンド”とも呼ばれる。

八代目儀兵衛の「お米番付」で今回で5度目の受賞となる北嶋さんの目標は、日本一粒が大きなお米を作ること。「いつか、おにぎりサイズの大きなお米を実らせたいんですよね」と受賞する度に話してくださる北嶋さんからは、お米づくりを心から楽しんでいることが伝わってくる。

健康に育つように、毎日行う“稲の健康診断”

毎日欠かさず稲の葉を触って“稲の健康診断”を行うことが、北嶋さんのルーティン。稲の調子が良い日とそうでない日で、葉っぱの感触が違うそうだ。健康に育つことを第一に考えて、周囲の環境にも気を配る。北嶋さんのお米づくりは自然の循環を生かした“大國主命御子神7人農法”という珍しい特別栽培。化学肥料に頼ることなく、米ぬかや灰、海水、有明海の海苔、梅干し、サトウキビ、麦藁など、自然由来の材料を使った手作り肥料を使用する。栄養たっぷりの土壌づくりを行うことで、稲の根が育ち、暑い夏を乗り越える力を持つ丈夫な稲に育つ。

こうして健康に育った北嶋さんのお米は、昨年の夏の暑さにも耐える丈夫でおいしいお米。「私のお仕事は異常気象を言い訳にせず、それに耐えることができるお米を育てることができるように追究すること」と日々のお米づくりでの学ぶ姿勢を忘れない。おいしいお米にするため、毎年栽培試験も行う。今年のお米づくりでの北嶋さんの新たな発見は「稲の根を地中深くまで伸ばすことが気候変動への適応力に比例する」ということ。栽培試験を通して見つけた毎年の新たな発見を、基礎となるご自身のお米づくりのプラスαとして、次のお米づくりに取り入れている。

見えないものこそ大切に。育まれた、感謝の心の結晶

「地中にある稲の根もそうですが、目に見えないところに大切なものはあると私は思っています」と語る北嶋さん。ご自身がこうしてお米づくりができているのも、自然からの恵みのおかげだと感謝の心を忘れない。最近では、昼間は目に見えない月の満ち欠けをお米づくりに取り入れているそうだ。

日本では“アニミズム”といって、古来から自然にある全てのものに霊が宿ると考えられてきた。だから田んぼも自然の中にある大切な場所。北嶋さんは以前、田んぼへのゴミのポイ捨てに悩まされていたが、神社でよく見る“紙垂(しで)”を田んぼの周りに付けることで、ポイ捨てが激減したそうだ。「神様がいるところにゴミなんか捨てちゃいけない」そういった私たちの潜在意識の中にある感謝の気持ちを大切にしていきたい。

こうして自然への感謝の心をいつも忘れず、稲と向き合うことで育まれた“大粒ダイヤモンド”は、いわば北嶋さんの感謝の心の結晶だ。よく花に毎日語りかけると美しく育つと言われるように、日々、優しさと謙虚な気持ちを持ってお米と向き合うことで、食べた人を幸福感で包み込むような味わいのお米が生まれるのかもしれない。こうして育まれた唯一無二のお米を再び味わいたい、とリピート購入するお客様は多い。北嶋さんは、今年も秋の収穫後に田んぼにねぎらいの気持ちを込めて、自身の80~90ヘクタールもの面積の田んぼ全てにお酒を撒いたのだそう。北嶋さんは「私は稲の家族に入れてもらって、成長をサポートする“補助員”に過ぎないと思っています。だから、むしろお米に成長させてもらっている人間なんです」と話す。

愛され続ける、おいしい最高の原石を

生産者として生計を立てていくためには、日本全国にたくさんのお米がある中で、お客様から選んでもらうお米にしなくてはいけない。今回「お米番付 第10回記念大会」のトークセッションで、若手生産者さんから「受賞できたお米を、実際に売っていくためにはどうしたらいいですか?」という質問が上がった。これに対して北嶋さんは、テレビで報道されて一見さんばかり来店するお店よりも、常連から愛される隠れた名店になることが大切だと考えているそうだ。「若い頃は自分のお米が売れるか不安ですよね。私も昔は不安でしたが、毎年おいしいお米を追究し続けて、最高の“ダイヤモンドの研磨職人”である八代目儀兵衛の『お米番付』で受賞させていただいていると、自然とお客様がついてくれるようになりました」と話してくださった。

誰もが欲しくなる輝きを放つダイヤモンドに仕上げるには、最高の原石が必要。おいしいお米づくりを追究することで、同じ志を持った仲間が自然と自分の周りに集まってくる。仲間はおいしいお米づくりを追求し合えるいいライバルでもあり、時にはお米づくりとは関係なくファミリーのような存在となる。日本には食味コンテストは数多く存在するが、北嶋さんは近年「お米番付」にしかエントリーしていない。八代目儀兵衛のことを、そんな大切な仲間の輪の中心だと思ってくださっているそうだ。

日々できることを。若手と切磋琢磨しておいしいお米づくり

今年節目を迎えた「お米番付 第10回記念大会」では、就農5年以内で良食味のお米づくりを追及する生産者さんを表彰する「U-5部門」も追加された。受賞した若手生産者さんたちと歴代受賞者の一人として交流された北嶋さんは、ご自身が彼らと同い年だった頃を振り返り、一生懸命お米づくりと向き合う姿勢に感心したと話される。

北嶋さんと一緒に未来のお米づくりを担う、日本の若手生産者さんたちへのメッセージを伺うと「自分が志す方向を信じて、前向きな気持ちで歩み続けることが大切です。疑問点が浮上した時はどんなことでも躊躇せず、その時すぐに周囲に聞いて向き合っていきましょう。若い頃は私も不安なこともが多かったですが、焦らなくていいと思います。毎日できることを着実に行っていくことが重要です」と答えてくださった。そして最後に「だからと言って私も追い抜かれる気はないですよ(笑)。若手生産者さんとの交流で、これからも頑張っていこうと自らの刺激になりました」と、ベテランも若手も関係なく、おいしいお米づくりのためには互いに切磋琢磨していきたい、という今後の意気込みを語ってくださった。

2024年4月6日(土)から 4月7日(日)まで、米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗にて北嶋さんの「にこまる」が提供される。自然からの恵みへの感謝の気持ちを大切にして毎日お米づくりを続ける北嶋さんの“大粒ダイヤモンド”の甘みで、幸福感に包まれてみませんか?

【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
三ツ星日本米穀商連合会認定お米マイスター取得

広島女学院大学栄養学科を卒業後、米卸業者に就職。同社で社長秘書・広報・営業とマルチに活躍。上京後、米麹や日本酒などの米加工食品について学ぶ。現在は「お米ライター」として、お米そのものから米加工食品まで、お米の魅力を発信し続けている。ライターの傍ら、お米由来の化粧品・米麹甘酒の広報支援やお米のECサービス、日本酒新ブランドの立ち上げに携わるなど、お米のマーケティング支援においても幅広く活動中。

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