目指すのは次世代へつながるおいしいお米づくりー「第10回お米番付」最優秀賞:北村 弘和さん

目指すのは次世代へつながるおいしいお米づくりー「第10回お米番付」最優秀賞:北村 弘和さん

最終更新日:2024-02-27

2023年に開催された八代目儀兵衛の「お米番付 第10回記念大会」。節目となるこの年に最優秀賞に選ばれたのは、西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社(代表取締役社長:北村弘和さん)から出品された、広島県山県郡北広島町の「いのちの壱」。お米づくりに携わる農業推進課課長の長友徹さんと、実際にお米づくりを行う水口一真さんにお話を伺ってきました。元々は地域貢献のために始めたお米づくり。そこから14年間試行錯誤し、日本全国で一番“甘い”お米としてトップに輝いた現在の心境と、次に成し遂げたい目標について伺ってきました。

お米づくりのきっかけは地域貢献

同社が農業事業を始めたのは14年前。従来から高速道路の点検管理業務を行っていたが、中国自動車道沿線の衰退が顕著化している現状に頭を悩ませていた。その原因の一つは、山間部の生産者さんの高齢化が急激に進み、近年使われない田んぼが増えて、それに伴い流通も衰えてしまっていること。この現状を打開するため、地域貢献の一つとして使われなくなった田んぼを借りてお米づくりを開始した。

育てているお米は「いのちの壱」の他に、人気の「こしひかり」や、広島県のご当地品種である、「あきろまん」や、「あきさかり」。そして比較的新しい品種である、「にじのきらめき」。その他にも飼料用米などを栽培している。栽培地は山間部を中心とした県内数箇所に点在し、水稲面積は合計35ヘクタール(350,000㎡)にも及ぶ。

中でも今回最優秀賞を受賞した「いのちの壱」は標高401mに位置する広島県山県郡北広島町大朝地区にて栽培している。水口さんによると、寒暖差の激しいこの地域は「いのちの壱」という品種自体の栽培が始まった岐阜県飛騨地域の気候ととても似ているのだそう。大粒で人気のあるおいしい品種を広島でも作れないだろうか、と試験的に始めたのが栽培のきっかけだった。

試行錯誤の末、受賞できた最優秀賞

お米づくりをする上で多くの生産者さんの頭を悩ませるのは、やはり地球温暖化の影響で近年上昇傾向にある夏の気温との付き合い方だ。この打開策として水口さんが着目したのが、空気中の気温よりも地中の方が温度が安定している点。地中にある稲の根を丈夫にすることが、結果的に夏の高温に負けない強くておいしいお米づくりにつながると考えた。大朝地区の土壌は、稲が根を地の奥底まで張るために必要なリン酸が多く存在する黒ボクという土。この土で肥料がどれくらいの速度で溶けるのか計測しながら、より丈夫な根を張らせるための土づくりの研究を13年前から続けている。さらに水の管理もこまめに行うのだそう。この地域は一級河川の江の川が流れるため、豊富な水資源に恵まれている。様々な工夫を繰り返すことで使用する農薬の量も抑えることができ、特別栽培米のおいしい「いのちの壱」に仕上がった。

このように、おいしいお米づくりを長年追究し続けたことで、今回こうして最優秀賞に輝くことができた。長友さんによると、広島県で収穫されたお米は県内での消費割合が高く、あまり県外に流通しないそうだ。「広島のお米を、もっと他の地域の方にも食べてほしいです。今回の『お米番付 10回記念大会 』にて最優秀賞を受賞できたことが、広島県のお米を県外にアピールできるきっかけになればと考えています。これからも胸を張って出荷するために、来年以降もよりおいしいお米を作らなければ、と身が引き締まる思いです」と話してくださった。

一度食べたら忘れられない、甘くて粘りのある「いのちの壱

同社のお米は、一度口にした人を虜にする。「おいしいけぇ」と購入し続けてくれる広島の地元飲食店のお客さんも多いそうだ。訪れるお客様の中には「お米がすごくおいしかったけれど、どこのお米を使っとるん?」とお店の方に聞く方もしばしば。

特に今回受賞した「いのちの壱」は、粘りや甘みがたっぷり。まずはそのまま、そのあと海苔などのご飯のお供と合わせるのもおすすめの食べ方。「おたくのお米ってやっぱりおいしいよね、と言ってもらえることがやっぱり一番嬉しいです」と嬉しそうに話す長友さんからは、おいしいお米を作り続ける力の源は、やはり食べてくれる消費者さんからの言葉から湧いてくるのだということが伝わってきた。

日本一の次の目標。お米づくりを次世代へ継承することが使命

今年節目を迎えた「お米番付」は、就農5年以内で良食味のお米づくりを追及する生産者さんを表彰する「U-5部門」も追加された。表彰式にて、「日本の四季折々の美しい田園風景を守りたい」というご自身たちと同じ思いからお米づくりを始めた若い生産者との出会いもあり、刺激になったそう。

長友さんは「お米の市場価値とコスト効率がもっと上がれば、お米づくりを始める新規就農者も増えると思うんです。近年は四季を大切に感じる若い方が少なくなったように感じます。この大切なお米づくりの文化を次の世代に継承していくことが私たちの使命だと思っています。弊社の農業推進課がそれをリードできたら嬉しいです。」と会社として成し遂げたい長期計画を教えてくださった。

水口さんも「毎日食べるお米がおいしいのは贅沢なことですよね。このことをもっと消費者の方に知っていただくために、私たちはおいしいお米をこれからも作り続けたいです。大朝地区で採れたお米だから美味しいと言ってもらえるようになることが目標です。」と、まずは地元地域で栽培されたお米の市場価値を上げていくという中期計画を設定。

そして最後に、これらの長期・中期計画に向けた第一歩として、「来年以降はさらにおいしいお米を目指して市場価値の向上を目指しながら、生産者にとって負担の少ない栽培方法を追及する攻めの姿勢でお米づくりをしていきたいです。」と意気込みを語ってくださった。この一歩が地域のお米づくり、および西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社が担う高速道路の利用促進につながり、結果的に失われつつある日本の田んぼの景色を守ることにつながっていくのかもしれない。

だからお米づくりはやめられない!試行錯誤の末の最高の喜び

あと2ヶ月すれば春が来て、桜の開花が私たちに新しい年度の始まりを知らせてくれる。お米の生産者さんにとって、桜の季節はお米づくりが本格的に開始する季節。冬の間休んでいた田んぼを起こし、土を目覚めさせる代掻きの作業から始まる。この時の独特の土の香りが、水口さんの心を一年で一番揺さぶるのだそう。楽しくも大変なお米づくりのスタートだ。

毎年天候が違うため、お米の生産者さんは「毎年1年生」とよく言われる。きっと同社も例外ではなく、今年も頭を悩まされることが多々あるかもしれない。「大変でもこうして毎年お米づくりを続けることができているのは、秋の収穫時においしい新米と出会える喜びがあるからなんです。だからお米づくりはやめられない。」と語るお2人からはおいしいお米への愛が伝わってきた。

2024年2月3日(土)から2月4日(日)まで、米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗にて西日本高速道路西日本エンジニアリング中国株式会社の「いのちの壱」が提供される。収穫した時もそうだが、さらにそれをおいしく調理して消費者に食べてもらえると、その喜びは数百倍にもなる。ご自身たちのお米を県外で食べてもらえることを、北村弘和社長を含め、社員全員で楽しみにしてくださっているそうだ。

【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
三ツ星日本米穀商連合会認定お米マイスター取得

広島女学院大学栄養学科を卒業後、米卸業者に就職。同社で社長秘書・広報・営業とマルチに活躍。上京後、米麹や日本酒などの米加工食品について学ぶ。現在は「お米ライター」として、お米そのものから米加工食品まで、お米の魅力を発信し続けている。ライターの傍ら、お米由来の化粧品・米麹甘酒の広報支援やお米のECサービス、日本酒新ブランドの立ち上げに携わるなど、お米のマーケティング支援においても幅広く活動中。

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