“毎年おいしいお米”をコミットメントー「お米番付2022」入賞 宮澤和芳さん

“毎年おいしいお米”をコミットメントー「お米番付2022」入賞 宮澤和芳さん

最終更新日:2023-11-02

人の五感で「甘い」と感じるお米を選ぶ、お米番付。今年入賞を受賞したのは、長野県安曇野市で栽培された宮澤和芳さんのゆうだい21だった。お米番付での受賞が今回3度目の宮澤さんには“毎年おいしいお米”という信頼がある。その背景には学生時代スポーツインストラクターを勉強していた宮澤さんならではのお米作りがあった。

欠かさずつける、毎日の作業日誌

 宮澤さんは稲の成長を記録する作業日誌の記録を欠かさない。おいしいお米にするためには、品種によって微妙に育て方は変わる。ゆうだい21は新しい品種で、宮澤さんも育て始めてまだ2年目。とはいえ、1年目は試験的なものだったので、本格的に出荷するのは今年が初めて。今年は昨年の作業日誌を参考にして育てた。記録はこれからも続けていく。作業日誌が貯まれば、更に安定しておいしいお米が育てやすくなるからだ。

結果にコミットするために

 従業員や他の人にも伝わるように記録する作業日誌は、言わばカルテのようなもの。学生時代は東京でスポーツインストラクターの勉強をされていた宮澤さん。目標を定めて体質に合ったアプローチを計画的に行うように、お米作りも品種に合った育て方で“毎年おいしいお米”を安定して届ける。今回はゆうだい21で受賞したが、エントリーした品種全て受賞するほどおいしいお米が作れるようになることが宮澤さんの目標だ。

目指すのは“毎年おいしいお米”

 「農家は自然と向き合う仕事だけど、お米の味を天候のせいにしたらプロじゃない」と語る宮澤さん。昨年おいしいと感じてくれたお客さんは、今年も同じ味を求めて買ってくださる。だから安定して“毎年おいしいお米”を収穫することが宮澤さんの目標。そのために、感覚に頼らず稲の成長をデータ化し、従業員にも共有できるように工夫を凝らす。衛星撮影など先進的なアイテムを活用することにも積極的だ。昨年からは生育診断用のドローンも活用し始めた。

 一方で、宮澤さんは農家さん同士の情報交換も大切にされている。おいしいお米を作る農家さんが集まるお米番付の授賞式は、お米作りについて語り合う場所としても大変刺激を受けるそうだ。

お米番付にエントリーし続ける理由

 宮澤さんがお米番付にエントリーしたのは今回が初めてではない。エントリーし続けるのは、食べる人を主軸に考えたおいしいお米作りをしたいという情熱が背景にある。

 一般的なお米の食味コンテストは、最終審査に辿り着くまでに機械測定でのふるい分けがある。そのため以前は、機械が読み取る数値に拘って自身の農地に合わない作り方をしていた。数値に拘りすぎた結果、食味が落ちて、お客さんが離れていったこともあったそう。

 この苦い経験から現在は、自身の田んぼに向き合い、食べる人にとって美味しいお米作りに専念することを大切にしている。そしてお米作りを農家の自己満足で終わらせないために、食べる人の五感で選ぶお米番付に何度もエントリーする。2013年にはコシヒカリ、2018年には夢ごこち、今年はゆうだい21が入賞した。

安曇野地域のお米の美味しさを伝える

 学生時代に東京での生活を経験したが、改めて地元の良さを感じて実家のお米作りを2006年に継いだ宮澤さん。安曇野地域は田んぼに水の掛け流しができるほど、綺麗な水に恵まれている。また、他の地域と比べて稲が病気にかかりにくく、農薬の使用量が元々少ない地域だそう。

 ここまでおいしいお米作りに適した地域は少ないが、「安曇野=おいしいお米」という印象はまだあまり広まっていない。今回受賞したことでこの地域を知ってもらうきっかけになればと宮澤さんは語る。

3月4日(土)から3月5日(日)まで、米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗にて宮澤さんのゆうだい21が提供される。“毎年おいしいお米”をコミットする宮澤さんは、今年も私たちの期待を裏切らない。

【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
三ツ星日本米穀商連合会認定お米マイスター取得

広島女学院大学栄養学科を卒業後、米卸業者に就職。同社で社長秘書・広報・営業とマルチに活躍。上京後、米麹や日本酒などの米加工食品について学ぶ。現在は「お米ライター」として、お米そのものから米加工食品まで、お米の魅力を発信し続けている。ライターの傍ら、お米由来の化粧品・米麹甘酒の広報支援やお米のECサービス、日本酒新ブランドの立ち上げに携わるなど、お米のマーケティング支援においても幅広く活動中。

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