最終更新日:2022-07-17
故人の冥福を祈る「法要」。仏教では、故人が亡くなった日から数えて7日ごとに「忌日法要(きにちほうよう)」を行う慣わしがあります。今回は、法要の中でも特に重要な「四十九日法要」について、京の米老舗八代目儀兵衛が解説します。四十九日法要当日までの準備や流れについてもまとめました。
四十九日(忌明け)法要とは?
忌日法要(四十九日まで)の流れ
四十九日(忌明け)の数え方
四十九日までしてはいけないこと
忌明けのタイミングは宗教によって異なる
納骨は四十九日(忌明け)に行うのが一般的
【準備編】四十九日法要までにやるべきこと
①四十九日法要の日程を家族・身内で決める
四十九日法要を避けた方がいい日はある?
②四十九日法要の場所を決める
③引き出物(粗供養)を準備する
④関係者に案内状を出す
【準備編】四十九日法要までに用意するもの
①魂入れをする「本位碑」を用意する
②位碑を安置する「仏壇」を用意する
③納骨を行う「お墓」を用意する
【当日偏】四十九日法要の服装
男性の服装・身だしなみのポイント
女性の服装・身だしなみのポイント
子どもの服装・身だしなみのポイント
【当日偏】四十九日法要の持ち物
①「白木の仮の位魂」と「塗りの本位魂」
②骨壺が入った箱
③墓地の使用許可証
④お線香・お供え・お花
【当日編】四十九日法要の流れ
①集合・お坊さんの入場
②喪主の挨拶
③読経とお焼香
④お坊さんの法話
⑤納骨式・お墓参り
⑥喪主の挨拶・引き出物を渡す
【施主からお坊さんに渡す】四十九日法要のお布施の相場とマナー
四十九日法要のお布施の相場は3~5万円程度
四十九日法要のお布施の書き方・渡し方
【参列者から施主に渡す】四十九日法要の表書き(浄土真宗の例外)
四十九日法要の準備と並行して香典返しの手配を進めよう
四十九日法要までの準備と当日の流れ|まとめ
四十九日(忌明け)法要とは?
故人が極楽浄土へ行けるように、ゆかりのある人が集まって冥福を祈る追善供養
四十九日法要とは、故人の冥福を祈る「追善供養」の儀式のこと。故人が亡くなってから49日目に遺族や親族、故人が集まり、お坊さんにお経を挙げてもらいます。同じような言葉に「法事」がありますが、こちらは法要の後に会食も含めた供養を指しています。
・法要:お経を唱えてもらう供養 ・法事:法要+会食 |
忌日法要(四十九日まで)の流れ
仏教の世界では、人間が亡くなってから浄土に行き次の生を受けるまでの49日間を「中陰」と呼んでいます。この49日までの期間、故人の魂は成仏できず「天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道」の六道をさまよい、7日ごとに閻魔様の裁きを受け、極楽浄土に行くための審判を受けると考えられています。そこで、期間中遺族は7日ごとに法要を行い、故人が無事極楽浄土に辿りつけるように冥福を祈るようになったと言われています。
初七日 | 死後7日目(葬儀当日に行うケースも) |
二七日 | 死後14日目 |
三七日 | 死後21日目 |
四七日 | 死後28日目 |
五七日 | 死後35日目 |
六七日 | 死後42日目 |
四十九日 | 死後49日目 |
百か日 | 死後100日目 |
四十九日(忌明け)の数え方
仏教では、故人が亡くなってから100日目の「百か日法要」までは、亡くなった命日を1日として数えます。
四十九日の場合は、亡くなった命日から49日目が「四十九日」にあたります。仏式ではこのタイミングが「忌明け」となり、この日を境に喪に服していた遺族も少しずつ日常を取り戻していくのです。
四十九日までしてはいけないこと
忌明けを迎えるまでの「忌中」の期間は、遺族にはいくつかの制限が設けられます。
その代表例が、結婚式をはじめとしたお祝いごとへの出席です。「忌中」に結婚式に招待された場合は「やむを得ない事情で、出席ができません」など、お相手に気を遣わせないように理由をぼかしてお断りするのがマナー。
ご自身の結婚式の場合も忌明け後に延期するのが一般的です。同様の理由で、七五三やお中元・お歳暮・引っ越し・神社への参拝も、四十九日までは避けたほうがよいでしょう。
忌明けのタイミングは宗教によって異なる
仏教では四十九をもって忌明けを迎えますが、そのタイミングは宗教によっても異なります。
仏式 | 四十九日(命日から49日後) |
神式 | 五十日祭(命日から50日後) |
キリスト教には「忌明け」の概念はありませんが、プロテスタントでは命日から1ヶ月後に「召天記念」として記念式を、カトリックでは命日から30日目に「追悼ミサ」を行うのが通例です。
納骨は四十九日(忌明け)に行うのが一般的
四十九日法要は、葬儀から一連の法要に区切りをつける重要な法要です。そのため、故人にゆかりのある人が集まる四十九日法要を活用して、同じ日に「納骨」を行うことも多いようです。もちろん、納骨のタイミングに明確な決まりはなく、必ずしも四十九日に行う必要はありません。
お墓の準備ができてからなど、遺族と相談しながら準備を進めましょう。
【準備編】四十九日法要までにやるべきこと
葬儀後は「除籍謄本の取得」や「世帯主の変更」など、怒涛の手続きラッシュが始まります。そのため、葬儀から四十九日法要までの期間は想像以上に慌ただしく、ギリギリまで「四十九日法要の準備ができない」と焦ってしまう遺族も多いようです。
余裕を持って四十九日法要を迎えられるように、当日までにやるべきことをまとめました。
①四十九日法要の日程を家族・身内で決める
まずは、家族や身内で日程を擦り合わせましょう。四十九日法要は、集まりやすい土日祝日に行われるのが一般的で、できれば四十九日よりも前に行うのがよいとされています。
「菩提寺(先祖代々のお墓のあるお寺)」がある場合は、候補日を早めに伝え予定を押さえます。菩提寺がない場合は、葬儀をお願いしたお坊さんに日程を相談するとよいでしょう。
四十九日法要を避けた方がいい日はある?
法要は、基本的にどの日に行ってもよいものとされています。四十九日前の土日祝日となると日にちが限られてしまうため、六曜や縁起にこだわりすぎる必要はありませんが、中には「友引や国民の祝日は避けるべき」と考える地域もあるようです。ひとりで悩まず、親族に相談できると安心ですね。
②四十九日法要の場所を決める
日程が決まったら、四十九日法要の会場を探しましょう。開催場所としては、菩提寺や自宅、専用の葬祭会館(セレモニーホール)などが挙げられます。
先祖代々引き継がれているお墓がある場合は菩提寺、家族でこじんまりと法要を行うなら自宅、参列者が多い場合は葬祭会館がおすすめです。四十九日法要後に会食の場を設ける場合は、レストランや出前を予約しておきましょう。
③引き出物(粗供養)を準備する
法要後の会食に加えて、参列者に渡す引き出物の準備も進めていきます。引き出物の相場は、法要でいただく香典の半額から3分の1程度が目安。お茶やお菓子・お米など日持ちのする「消え物」を選ぶのが一般的です。
④関係者に案内状を出す
日程と会場が決まったら、四十九日法要に誰を呼ぶのかを決め、案内状を出します。往復葉書に場所や日時、出欠の有無などを記載するのが正式とされていますが、親しい間柄であれば電話などで連絡をとっても問題ありません。
【準備編】四十九日法要までに用意するもの
会場の手配に加えて、四十九日法要までにいくつか用意するものがあります。その代表例が、次の3つです。
・本位碑 ・仏壇 ・お墓 |
いずれも、手配には2〜3週間かかるため、期間にゆとりをもって早めの準備を心がけましょう。
①魂入れをする「本位碑」を用意する
四十九日の法要までに必ず用意しなければならないのが「本位碑」です。位碑とは、故人の霊をまつるもので、その中には故人の魂が入っていると考えられています。
葬儀の際に渡される位碑は、白木のタイプ。こちらは、仮の位碑であるため、四十九日法要までに漆塗りの「本位碑」を新たに準備する必要があります。四十九日法要の際に「魂入れ」を行い、その後は自宅の仏壇に安置します。「魂入れ」をすることで位碑が故人そのものになるとも考えられているようです。
位碑の手配は、近隣の仏具店にお願いするのが一般的ですが、馴染みの仏具店がない場合は、葬儀場から紹介を受けることも可能なようです。
②位碑を安置する「仏壇」を用意する
位碑を安置する「仏壇」も、四十九日前に準備しておくと安心です。仏壇を購入する際には、あらかじめ家のどの場所に置くのか、目星をつけておきましょう。最近では仏間や和室のない家も増えているため、無理に大きな仏壇を購入する必要はありません。位碑と一緒に、仏具店で間取りに合ったものを購入しましょう。
③納骨を行う「お墓」を用意する
遺骨をお墓に納めることを「納骨」と呼んでいます。代々続くお墓が既にある場合は、四十九日法要の日程が決まり次第、墓石店に連絡し、戒名を掘ってもらいます。お墓を新しく準備した場合は、納骨の前に「開眼法要」と呼ばれる「魂入れ」を行うのが一般的です。
お墓は、一度購入したら代々受け継いでいくもの。後継者が見込めない場合は、永代供養をしてくれるお墓や納骨堂を検討します。
【当日偏】四十九日法要の服装
四十九日法要の装いは、地域の風習や会場の規模感によっても異なりますが、施主は正喪服もしくは準喪服をまとうのが基本です。
・正喪服:遺族が着る最も格式の高い喪服 ・準喪服:参列者が着る一般的な喪服 ・略喪服:「平服」と呼ばれる服装 |
ここからは、四十九日法要の服装のポイントを男女別に確認していきましょう。
男性の服装・身だしなみのポイント
男性の場合は、ブラックスーツを着用するのが一般的です。同じ黒色でもビジネススーツやリクルートスーツは避けます。
・ワイシャツは白無地 ・ブラックスーツ ・金具のついていない靴 ・黒のネクタイと靴下 |
女性の服装・身だしなみのポイント
女性の場合、故人が亡くなってから1年の節目である一周忌までは、遺族・参列者ともに準喪服を着用するのが一般的です。
<洋装> ・暗めのワンピースやアンサンブル ・黒のパンプスとストッキング |
<和装> ・暗めの色無地や江戸小紋 ・帯はグレーなど控えめな色 |
肌の露出を避け、暗めのカラーでまとめるのが基本です。
子どもの服装・身だしなみのポイント
年齢に問わず学校の制服がある場合は着用し、乳幼児の場合は暗めの色でまとめます。
【当日偏】四十九日法要の持ち物
すべての準備が整ったら、いよいよ四十九日当日。忘れ物がないよう、当日の持ち物を確認しておきましょう。
①「白木の仮の位魂」と「塗りの本位魂」
ひとつ目は、葬儀の際に受け取った「白木の仮の位魂」と事前に準備した「塗りの本位魂」です。四十九日法要で「魂入れ」を行った後は、「塗りの本位魂」を持ち帰り、役目を終えた「白木の仮の位魂」はお坊さんに持ち帰っていただきます。
②骨壺が入った箱
四十九日の法要と同日に納骨を行う場合は、葬儀の際に受け取った骨壺が入った箱も持参します。箱の中には、火葬場から受け取った「埋葬許可証」が入っています。
③墓地の使用許可証
お墓を建てた際に受け取る「墓地の使用許可証」も忘れずに持参します。
④お線香・お供え・お花
お線香・お供え・お花の3点セットも購入しておきましょう。
お線香 | 1〜2束ほど。着火道具 |
お供え | お菓子、下にひく紙皿、半紙 |
お花 | 同じもの2束で1組 |
数珠は、一人ひとつ持つようにします。可能であればお子さまの分も持っていきましょう。
【当日編】四十九日法要の流れ
基本的な流れを知っておけば、余裕を持って当日を迎えることができるはず。ここでは仏式の代表的な四十九日法要の流れについて確認していきます。
①集合・お坊さんの入場
開始時間前に会場の法要室に集合し、お坊さんが入場する前に仏間に着席しておきます。お坊さんの真後ろの席に施主、故人との関係性の深さに合わせて、前方から順に着席するのが一般的です。
②喪主の挨拶
お坊さんが着席したら、施主は簡単に挨拶をします。
●挨拶の例 本日は、お忙しい中ご参列いただき、誠にありがとうございます。それでは、これより父〇〇(俗名または戒名)の四十九日法要をはじめさせていただきます。住職様、どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
四十九日法要では、戒名で呼ぶのが正式です。とはいえ、集まった親族にとっては生前から慣れ親しんだ俗名の方が馴染み深いことでしょう。
挨拶の際に、故人を俗名で呼ぶべきか、または戒名で呼ぶべきかについては、事前にお坊さんに確認しておくと安心ですね。
③読経とお焼香
挨拶が終わったら、お坊さんが30分ほどお経を読み、その後、お焼香に入ります。「香を摘んだ指を額まで押しいただき、2〜3回ほど繰り返す」方法が一般的ですが、正式な作法は宗派によって異なります。
こちらも、お坊さんに確認しておくとよいでしょう。
④お坊さんの法話
お焼香の後は、お坊さんの法話があります。姿勢を正し、しっかりと耳を傾けます。
⑤納骨式・お墓参り
納骨を行う場合は、そのままお墓へと移動し、お花やお供えものを並べます。墓前で、読経、お焼香を行います。
⑥喪主の挨拶・引き出物を渡す
施主による挨拶で四十九日法要は終了です。事前に用意していた引き出物を渡したり、食事を囲んだりした後は、各自のタイミングで解散します。
●挨拶の例 ご住職さま、本日はご丁寧なお勤めをありがとうございました。また皆様におかれましては、お忙しい中ご列席いただきありがとうございました。おかげさまで無事法要を営むことができました。故人もさぞ、安心していることと存じます。簡単ではございますが、お膳を用意しましたので、故人の思い出話などをお聞かせいただきながら、お寛ぎいただければと思います。今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。 |
【施主からお坊さんに渡す】四十九日法要のお布施の相場とマナー
四十九日法要において、避けては通れないのがお金の話。お坊さんへの謝礼を「お布施」と言いますが、明確な基準がない分「一体いくらくらい包めばいいのだろう?」と迷ってしまう方も多いようです。
四十九日法要のお布施の相場は3~5万円程度
地域によっても異なりますが、お坊さんに渡すお布施の金額は、3〜5万円が相場だと言われています。菩提寺がある場合は、檀家としての立場によっても大きく金額が異なるため、事前に確認しておきます。寺院以外の場所で法要を営んだ場合は、「お車代」も必要に。お車代は1日1万円を目安にお布施と一緒に包んで渡します。
四十九日法要のお布施の書き方・渡し方
施主からお坊さんに渡すお布施には、決まったマナーがあります。必要に合わせて①→④の順に重ね、お盆に乗せてお渡ししましょう。表書きは下記を参考にし、下の部分には苗字を記します。
①御布施 | 法要に対するお礼 |
②御塔婆料 | (浄土真宗以外で)卒塔婆供養を行う場合に必要 |
③御膳料 | 法要後の会食にお坊さんが出席しない場合に必要 |
④御車料 | 寺院以外の場所で法要を営んだ場合に必要 |
【参列者から施主に渡す】四十九日法要の表書き(浄土真宗の例外)
参列者から施主に香典を渡す場合、四十九日法要までは表書きを「御霊前」、その後は「御仏前」にするのが一般的です。
浄土真宗では「故人の魂は死後すぐに成仏する」「御仏前として現金を供えるのは失礼」と考えられているため、法要の表書きは「御供物料」または「御香料」とします。
四十九日法要の準備と並行して香典返しの手配を進めよう
四十九日を迎えるにあたって、忘れてはならないのが、葬儀の際故人に香典をいただいた方にお礼をする「香典返し」。香典返しは、故人にたむけて頂いた香典に対し「お礼の気持ち」と「忌明けのご報告」にお送りするものです。そのため四十九日法要の後、間を置かずにできるだけ早く、挨拶状を添えて贈るのがマナーです。
香典返しでは「不祝儀を後に残さない」という意味から、お茶やお米・のりなどの「消え物」が喜ばれる傾向にあります。いただいた香典の半額(半返し)から3分の1程度に品物を選びましょう。
四十九日法要までの準備と当日の流れ|まとめ
今回は四十九日法要までの流れについてご紹介しました。葬儀から四十九日までの期間は、「思った以上に時間がない」「準備することが多い」と驚いた方も多いのではないでしょうか。
位碑やお墓は、完成までに半月はかかるため、早めの準備を心がけましょう。四十九日は忌明けのタイミングでもありますので、法要の準備と同時に香典返しの手配を同時に進めておくと安心ですね。
八代目儀兵衛では、落ち着いた雰囲気の中に和の華やかさ漂う、弔事専用ギフト「偲」シリーズをご用意しています。熨斗や挨拶状の書き方など、香典返しや引き出物にまつわる疑問もお気軽にご相談ください。