香典返しの掛け紙(のし)はどう選ぶ?内掛けと外掛けの違いも解説!

香典返しの掛け紙(のし)はどう選ぶ?内掛けと外掛けの違いも解説!

最終更新日 2022-06-13
公開日 2021-09-25

香典返しには「掛け紙(のし)」が必要ですが、どのような「掛け紙(のし)」を選ぶのが適切かご存知でしょうか?本記事では、地域・宗派の違いによって変わる掛け紙(のし)の選び方をはじめ、内掛け(内のし)と外掛け(外のし)の違いなど、香典返しの正しいマナーをマナー講師が解説します。

そもそも「のし」とは?

私たち日本人が生活の中で差し上げたり頂いたりする「祝儀袋」や「祝儀包み」には、右上に小さなひし形の折型が印刷されています。この折型を「小熨斗(このし)」といいます。「小熨斗」が包む「金色の細長いひも状の物」が「熨斗(のし)」。つまり「のし」を「小熨斗」で包んだ折型を掛け紙に貼り付け、贈答品や金銭を贈る際に使用しているのです。

ちなみに「のし」の正体は、「熨した(のした)鮑(あわび)」。日本では古くから、神への供物として海産物を供えてきました。その中でも、最高級の格を持つのが鮑(あわび)だったのです。鮑は、生命の源、生命の象徴として古来より礼賛されてきました。

「のし」を添えて品物を贈ることは、生命のパワーを贈ること。そこには不老長寿の祈念と共に、神の恩恵にあずかるという思いがあったと考えられます。「のし」は、現代では印刷物に取って代わられましたが、贈る側の心はその風習の中に今も変わらず続いているのです。

香典返しにかけるのは「のし」ではなく「掛け紙」

さて、神に供えた最高級の海産物である鮑が由来の「のし」ですが、使用するのは婚礼やお祝い事の慶事全般と、お中元やお歳暮といった季節の贈り物の場合のみです。弔事には「のし」はつけません。「のし」は、いわゆる生臭物(なまぐさもの)であることから、殺生を忌む弔事にはご法度なのです。

香典返しは弔事のため、「のし」を貼り付けていない「掛け紙」を用います。「のし」や「のし紙」というと「掛け紙」全体のことと勘違いしている人も多いようですが、「熨斗」が付いているから「のし紙」「のし」なのです。慶事では「のし」「のし紙」で良いですが、弔事では「掛け紙」を使用すると覚えておきましょう。

香典返しの掛け紙(のし)の選び方

引の歴史を紐解くと、唐からの渡来品の箱を結んだ紅白の麻糸といわれています。渡来品を受け取った日本人が、おめでたいときに使用するものと勘違いして真似たのが始まりなのだそうです。

最近では、掛け紙をかけ、水引で結ぶスタイルを目にすることは少なくなりました。水引を印刷した掛け紙が主流になっています。ここからは、水引の結び方、本数、色や掛け紙の絵柄など、地域や宗派による違いも併せてそれぞれの意味を解説します。

水引の結び方

水引の結び方には、結び切り(真結び)、あわじ結び、蝶結び(双輪結び)の3種類があります。香典返しで使用されるのは、このうち結び切り(真結び)とあわじ結びの2つです。

結び切り(真結び)は、一度結ぶと容易にはほどけず、結び直すことも困難なことから、二度とあってほしくない事柄、一度だけでいい事柄の際に使用されます。

あわじ結びも同様に結び切りの一種です。どちらも香典や香典返しなどの弔事全般だけでなく、婚礼や全快などの慶事にも使用されます。

水引の本数

水引はたいていの場合、「奇数の本数を使用する」と覚えておくと良いでしょう。その中でも基本は5本。香典返しの水引も5本が一般的です。

水引の本数は、品物の豪華さや金額の多寡に比例するので、5本を基準に簡素であれば3本、豪華であれば7本にしても問題はありません。例外は9本です。「9」という数字は「苦しみ」を連想させることから、昔から日本では厭われてきました。そのため、9本の水引を使用することはありません。

また、婚礼では両家がつながるという意味から、5本×2として10本の水引を使用します。

水引の色

香典返しの水引の色は「白黒」*です。これは宗派や地域にかかわらず、オールマイティで使えます。特徴的なのは、関西、西日本や北陸地方で見られる「白黄」*です。これ以外では「銀」「紺」の組み合わせもありますが、ここに挙げた色であれば、どれを使用しても失礼にはあたりません。
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*小笠原流礼法の表現方法を記載。

水引の絵柄

仏式では「蓮の絵柄」の掛け紙を使用することがあります。これは仏教と「蓮の花」の関係性によるもの。極楽には「蓮華、蓮の花」が咲き乱れるといわれていることから、香典返しに相応しいと考えられたのでしょう。

仏式以外の神式やキリスト教では、無地の掛け紙を使用します。

香典返しの表書き

香典返しは、故人にお供え頂いた香典のお礼だけでなく、「つつがなく弔事を終えました」というご報告の意味を持ちます。お礼の気持ちを表現する言葉として「志」は、どのような宗派、地域でも関係なく使用できる代表的な表書きです。

仏式に限られますが、関西地方や西日本地域では「満中陰志」も忘れてはいけません。これは「中陰=四十九日」の期間がつつがなく満了した事へのお礼という意味です。

神式では、香典という考え方はないため、頂いた「御玉串料」へのお礼として「偲び草」と書きます。キリスト教でも同様です。これは故人を懐かしく思う気持ちを贈りものに託すという意味を持ちます。

表書きを書くのに使用する墨にも注意が必要です。通夜・葬儀に始まるさまざまな行事では薄墨を使用します。これは悲しみの涙で墨が薄まったこと、あるいは突然の訃報に墨を擦る間もなく駆け付けたことを表すためといわれています。ただし、これも忌明けまでと覚えておきましょう。故人が旅立った後には「悲しみの中にも徐々に日常を取り戻して参ります」という思いも込めて、香典返しでは薄墨を使う必要はありません。また、水引の下部分には、差出人の名前を書きます。喪主の苗字のみ、あるいは苗字に家をつけて「〇〇家」と書くのが一般的ですが、この頃は姓名を書くケースも増えてきたようです。

香典返しの時期

さて、薄墨を使うのは忌明けまでとご説明しましたが、この忌明けこそが香典返しをお送りする時期です。しかし例えば、北海道では「即日返し」といい、葬儀当日に香典返しもお渡しする習慣もあります。元々、厳しい気候や広大な土地を背景に、助け合い文化が根付く北海道ならではのものでしょう。

このように、香典返しをお送りする時期は地域だけでなく宗派によっても異なります。

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地域での違い

北海道、東北地方では葬儀当日の即日返しが一般的ですが、最近では関東地方、中部地方もこの傾向にあります。故人の法要に際し、何度も集まることが厳しかったり、遺族にとっても改めて香典返しの準備をするのが負担であったり、忙しい現代人の事情かもしれません。

ただし、葬儀の「会葬御礼」と「香典返し」は別物です。即日返しでは、一律の金額で準備するため、頂いたお香典に対して、香典返しの額が少ない場合があります。そのときは、後日その差額分に充当する品物をお送りする心遣いが必要です(香典返しは、頂いた香典の半分返しを目安に考えます)。

一方、関西地方や西日本地方では、後返し(後日返し)が一般的です。忌明けから2週間程度の時期を目安に送ります。なお、忌明けは宗派によって違うので次に説明します。

宗派での違い

仏式は、亡くなった日を1日として49日目の四十九日法要後を忌明けとします。または35日(五七忌)の三十五日法要後にする場合も。なお、仏式でも、浄土真宗は初七日で忌明けです。

神式は、50日(五十日祭)後。

キリスト教のカトリックは1か月後の追悼ミサ後、プロテスタントは30日目の召天記念日後が忌明けです。

内掛け(内のし)と外掛け(外のし)の違い

掛け紙(のし)を品物にかける方法としては、内掛け(内のし)と外掛け(外のし)の2種類があります。香典返しでは、どちらでなければいけないということはありません。それぞれの特徴を知り、適切な方法でお返しすると良いでしょう。

内掛け(内のし)について

内掛け(内のし)は、品物に直接かけてから包装紙で包む方法です。掛け紙の表書きが外からは見えない、汚れたり破損したりしない、という理由で郵送に適しています。

また、内祝いやお返しといった、こちらの理由で贈る性質の贈答品の場合は、内掛け(内のし)が望ましいといった見方もあるようです。

外掛け(外のし)について

外掛け(外のし)は、包装紙で包んだ品物の上に掛け紙を掛ける方法です。その特徴は、一目で中身がどういう贈り物かがわかるということです。

香典返しは本来、先方にお伺いして手渡しできれば、それに越したことはありません。直接お渡ししてご挨拶できる場合は、外掛け(外のし)でお持ちすると良いでしょう。

香典返しの挨拶状

香典返しは直接お目にかかってお礼を申し上げ、お渡しするのが筋です。しかし、お香典を頂いた皆様全員をご訪問するとなると厳しいのが現実です。

そのため、たいていは郵送でお品物をお送りしますが、お礼の気持ちをお伝えする挨拶状を必ず同封しましょう。正式には「奉書紙」に記すのが伝統的ですが、「カード」や「一筆箋」といったスタイルも取り入れられています。

挨拶状には次の5点を記します。

1.葬儀参列あるいは弔意へのお礼、お香典(玉串料、御花料)へのお礼

2.つつがなく法要を終え、忌明けを迎えることができましたというご報告

3.生前、故人がお世話になったことへの感謝

4.香典返しを送らせて頂くというご連絡

5.本来は持参して直接お礼申し上げるべきところ、郵送で失礼しますというお詫び

なお、挨拶状には「、」や「。」の句読点は使用しません。これには「法要が途中で止まることなくスムーズに進むように」との思いが込められているといわれています。

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まとめ

通夜から始まり忌明けまでの一連の行事をこなすことが、大切な人を亡くした悲しみを乗り越える助けになるといわれています。香典返しは、その一連の行事におけるゴールです。

「のしの付いていない掛け紙で包む」「水引は白黒または白黄の結び切り」「表書きには『志』」か『満中陰志』を記す」「挨拶状を同封して忌明けに送る」。これらが香典返しの主なポイントです。

日本に古くから伝わるこれら習慣を尊重することが、故人の尊厳を守ることにつながります。礼を尽くした作法で香典返しを贈りましょう。

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【執筆者プロフィール】

城戸景子
STUDIO STELLA代表
イメージコンサルタント/ビジネスマナー講師

神戸女学院大学文学部英文科卒業。コンピュータソフトウエア会社に就職後、営業秘書、営業に従事。その後転職、退職、結婚、子育てを経て、イメージコンサルタント資格を取得。外見のイメージ作りによる印象戦略の次は、内面を表すマナーが重要と考え、ビジネスマナー講師資格を取得。特にマンツーマンでのビジネスマナー研修は、内容が充実、日常のささいな疑問も解決できた、分かり易い上に印象に残ると人気。ビジネスマナー、生活マナー等マナー全般についてのオンラインコンサルティングも実施。お問合せ、ご相談はHPのお問合せから。

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