最終更新日:2023-03-08
遺族が喪に服す期間を終える「忌明け」。仏教では、その区切りとしては四十九日法要を執り行いますが、当日はもちろん、その前後にはやらなければいけないことがたくさんあります。
今回は、忌明けに向けた準備や、四十九日法要当日と忌明け後にやるべきことについてマナー講師が解説します。
忌明けとは?読み方や意味について
忌明けまでの日数
混同しやすい「忌中(忌明け)」と「喪中(喪明け)」
忌明けに向けてやるべき事前準備
忌明けに向けて行う事前準備(1)僧侶に依頼
忌明けに向けて行う事前準備(2)会場を決める
忌明けに向けて行う事前準備(3)出欠確認
忌明けに向けて行う事前準備(4)引き出物の準備
忌明け(四十九日法要)当日にやるべきこと
忌明け当日にやるべきこと(1)四十九日法要
忌明け当日にやるべきこと(2)納骨
忌明け当日にやるべきこと(3)会食
忌明け当日にやるべきこと(4)お布施の準備
忌明け後にやるべきこと
忌明け後にやるべきこと(1)香典返しを選ぶ~NGな品物とは~
忌明け後にやるべきこと(2)香典返しを選ぶ~適した品物とは~
忌明け後にやるべきこと(3)挨拶状を書く
まとめ
忌明けとは?読み方や意味について
忌明けは「きあけ」「いみあけ」と読み、忌の期間の終わることをいいます。
昔は家族が亡くなると、一定の期間、家に閉じこもり故人を弔っていました。これは故人の冥福を祈るだけでなく、日本古来の思想でいう「穢れ」を払うための期間とされていたのです。「穢れ」は「気枯れ」。気が枯れて精神が弱る状態ともいわれ、それを社会に持ち込むことがご法度だったのです。
現代においても、忌中は、結婚式やお宮参り、七五三などのお祝い事は避け、神社への参拝を控えます。どうしても避けられない行事があり参拝する場合は、鳥居をくぐらずに参拝する配慮が必要です。また家に仏壇がある場合は、この期間は仏壇の扉を閉じておきましょう。
忌明けまでの日数
仏式では、亡くなってから四十九日後が忌明けとなります。
仏教の考え方では、死亡してから次の生をうけるまでの期間が49日間あるとされており、この期間を「中陰」といいます。この間に7日ごと、7回の追善供養(中陰供養)を行います。四十九日(七七日/なななのか)は、中陰が満つる日、つまり「満中陰」ともいい、故人にとって死後の行先が決まる重要な日。遺族にとっては、亡くなって四十九日後の満中陰を以て、忌明けとなります。
※忌の期間が年をまたいだり、3か月にわたったりする場合は、三十五日を忌明けとすることもあります。
混同しやすい「忌中(忌明け)」と「喪中(喪明け)」
混同しやすいのが、「忌中」と「喪中」です。どちらも故人の冥福を祈り供養する期間ですが、その違いは明けるまでの日数と遺族の過ごし方です。先に述べたように忌明けは亡くなってからの49日後ですが、喪明けは1年後が一般的です。
忌明け後は穢れが払われたと考えるため、通常の生活に戻りますが、喪明けまでは新年の挨拶や年賀状は控えます。他にも、結婚式など、自分たちで日程を決めることができるお祝い事は、できるだけ喪明けに変更するのが望ましいといえます。
忌明けに向けてやるべき事前準備
亡くなってから四十九日後には、必ず四十九日法要をします。かなり大がかりな法要ですので、できる準備は早めに済ませるのがポイントです。
忌明けに向けて行う事前準備(1)僧侶に依頼
まずは僧侶に法要を依頼し、相談して日程を決めます。四十九日法要は、葬儀・告別式に参列してくださった方をお呼びして執り行うもの。そのため、たくさんの人に来ていただける休日の日程を選びましょう。四十九日より前の日程であれば問題ありません。
忌明けに向けて行う事前準備(2)会場を決める
四十九日法要をどこで行うのか、その後の会食はどこで開くのか、納骨はその日にするのかなど、さまざまなケースを検討して会場を決めます。
法要と会食は同じ場所で行うのか、または別の会場に移動してもらうのか、その場合の移動手段はどうするかなど、綿密な計画が必要です。
忌明けに向けて行う事前準備(3)出欠確認
日程と場所が決まれば、電話や葉書で招待のご案内をします。出欠の確認をし、参列してくださる人数を把握しましょう。
人数がわからないと会場の予約や引き出物の準備にも支障が出るので、早めの出欠確認が大事です。遅くても2週間前には、参列者の人数がはっきりしているようにしましょう。
忌明けに向けて行う事前準備(4)引き出物の準備
四十九日法要の参列者は、お供えを持参してくださいます。そのお供えに対しての返礼品として、引き出物の準備が必要です。
会食代を考えない場合、1人10,000円ぐらいのお供えが相場ですので、引き出物は3,000円~5,000円が妥当です。なお、表書きは、「志」「祖供養」とし、白黒または白黄の水引を使用します。
※後日お送りする香典返し(満中陰志)とは別物です。
忌明け(四十九日法要)当日にやるべきこと
四十九日は満中陰ともいい、忌明けを意味する重要な法要です。近親者、友人、知人を招き、僧侶に依頼して大がかりな法要を営むのが一般的。自宅に安置してあった遺骨を墓地に納める納骨も、この日に済ませるのが多いようです。その後、参列者全員でお斎(おとき)といわれる会食をして、精進落としをします。
忌明け当日にやるべきこと(1)四十九日法要
葬儀の際とは違い、法要には儀式としての厳格な決まりはありません。僧侶が入場され、仏壇の前で読経し、その間に参列者が焼香を済ませます。僧侶の法話をいただき、法要は終了です。
忌明け当日にやるべきこと(2)納骨
四十九日は忌明けのため、このひと区切りの日を選んで納骨をされるケースが多いようです。新しく建てたお墓であれば、まずは開眼法要を行っていただきます。その後、納骨に移りますが、施主が納骨した後、僧侶に読経していただきます。その間に参列者が焼香をし、お花やお供物を供えます。
忌明け当日にやるべきこと(3)会食
法要が終了したら、施主は席を改めて参列者をもてなします。この会食はお斎ともいわれ、これが「精進落とし」です。
最近では、葬儀・告別式後に振る舞われる料理も「精進落とし」といわれるようですが、本来の意味の精進落としとは、「四十九日間は肉や魚を食べない精進料理のみだったのが終わり、普通の食事に戻すこと」と覚えておきましょう。
この宴席の開始時には、参列へのお礼を込めて施主が挨拶をするのがマナーです。また、終了時にも簡単な挨拶で終わりましょう。この場で、四十九日のお供えへの返礼品をお渡しします。
忌明け当日にやるべきこと(4)お布施の準備
法要を執り行ってくれる僧侶へのお布施を準備します。お布施は3種類が必要です。
・一般的な謝礼:「御布施」「御経料」「御礼」とし、水引は結び切りの白黒か白黄。
・移動へのお礼:「御車代」とし、水引なしの白い封筒を使用(郵便番号枠のないもの)。
※会場まで移動してもらったら、送迎があってもなくてもお渡しする。
・会食代:「御膳料」とし、水引なしの白い封筒を使用(郵便番号枠のないもの)。
※法要のあとの会食に出席していただけない場合にお渡しする。
忌明け後にやるべきこと
四十九日の忌明け後にやるべき最も重要なことは、香典返しの発送です。香典返しは文字通り、葬儀・告別式に香典をくださった方へのお返し。
「満中陰志」ともいわれ、四十九日法要を滞りなく済ませることができた「報告」と、生前の故人にいただいた厚情と葬儀・告別式に参列してくださったことへの「感謝」を改めて伝えるものです。
忌明けでひと区切り。最後まで手を抜かずに、しっかりと務めあげたいものです。
忌明け後にやるべきこと(1)香典返しを選ぶ~NGな品物とは~
香典返しは、一般的に「半返し」といわれます。もらったお香典の額の半額くらいの品物を贈るという意味です。
ただし、香典には「不意の場合の相互扶助の意味」があるのも事実です。故人が一家の大黒柱だったりすると、今後の生活を多少なりとも支えたいという気持ちで香典を多く包んでくださることもあります。「お返し不要」といわれたら、状況により甘えても良いのでないかと思います。
とはいえ、これはレアケース。通常は感謝の気持ちを込めて、その気持ちを託す品物を選ぶことが大事です。なお、香典返しは不祝儀ですので、不祝儀に適さない品物を贈ることはマナー違反と心得ましょう。
・四つ足生臭もの:生の肉や生の魚といった類は仏事ではNG
・お酒などの嗜好品;お祝い事に使用されることが多いのでNG
・金券やギフトカード:金額がはっきりとわかるものはNG
・縁起物と結びつくお菓子;紅白や鶴亀、ウサギ、松竹梅などの和菓子などはNG
・賞味期限が短いもの:急いで食べないといけないようなお菓子類はNG
忌明け後にやるべきこと(2)香典返しを選ぶ~適した品物とは~
昔から、不祝儀に適したものとして「消えもの」が良いとされてきました。これは不祝儀を後に残さないことから来ています。「食べてなくなるもの」「使ってなくなるもの」がこれに当たります。次の品物がおすすめです。
・お米:好き嫌いがなく重宝される。贈り物としては量よりも質、パッケージにこだわった商品が最適。
・お茶:昔から緑茶は不祝儀に使われる定番。緑茶だけでなく紅茶も、バラエティの豊かさで喜ばれることが多い。
・海苔:好き嫌いがなく重宝される。昔からある不祝儀の定番。シンプルな海苔だけでなく、味付けに工夫を凝らしたものもありギフトとして優秀。
・タオル:生活必需品のため、いただいて嬉しい品物のひとつ。贈り物としては、高級タオルを選ぶことがポイント。
・石鹸:「悲しみを流す」という意味から昔からの不祝儀ギフト定番。固形石鹸のニーズが少なくなっているので、ボディシャンプーやハンドソープがおすすめ。
忌明け後にやるべきこと(3)挨拶状を書く
香典返しを送る際には必ず挨拶状を同封します。挨拶状はフォーマルな順に「和紙を使用した奉書形式」「カード形式」「葉書形式」があります。香典返しをしない場合も、挨拶状はお送りしましょう。
挨拶状に記すべき重要なことは次の5点です。
①お香典をいただいたことへのお礼
②四十九日法要が無事に終わったことのご報告
③生前に故人にいただいた厚情へのお礼
④香典返しを送ることのご報告
⑤本来お届けにあがってご挨拶すべきところ、挨拶状で失礼することへのお詫び
また、挨拶状を書く際には、次の点に気を付けて準備しましょう。
・句読点を使わない。
・季節の挨拶を入れない。
・忌み言葉、重ね言葉は使わない(迷う、消える、くれぐれも、わざわざなど)。
・薄墨を使わない。
・日付は四十九日の日を入れる。
まとめ
葬儀のあと、仏教では亡くなった日から四十九日間、7日目ごとの法要を行い、故人の冥福を祈ります。その期間が満了する忌明け。これは故人が仏様になる日であり、遺族にとっては通常の生活に戻る日です。
このように大きな意味を持つ忌明けですから、入念に準備をして、家族の死に心を寄せてくださった方々へ感謝の気持ちを伝えることでひと区切りにしましょう。
これまではすべて遺族が担っていた作業も、八代目儀兵衛のサービスを活用することで多少なりとも負担を減らすことができる時代になりました。便利なものは、どんどん試してみてはいかがでしょうか。