最終更新日:2022-11-11
故人が亡くなってから満1年目の命日にあたる「一周忌」。一周忌に行われる法要は、年忌法要の中でも最も重要とされています。
今回は、そんな一周忌について意味をおさらいし、法要の流れやお供え・お返しにまつわるマナーについてマナー講師が解説します。
一周忌とは
一周忌法要では何をする?
一周忌法要の流れ
一周忌法要の準備
一周忌法要の準備(1)日程決め
一周忌法要の準備(2)僧侶のスケジュール確認
一周忌法要の準備(3)場所決め
一周忌法要の準備(4)参列者への案内
一周忌法要の準備(5)引き出物の準備
一周忌法要のマナー
一周忌法要のマナー(1)出欠の連絡
一周忌法要のマナー(2)服装
一周忌法要のマナー(3)お供えの金額や表書きなど
一周忌法要のマナー(4)時間
一周忌法要のお供えについて
一周忌法要のお供えの選び方
一周忌法要のお供えの渡し方
一周忌法要のお供えの金額の相場
一周忌法要のお返し・引き出物について
一周忌法要のお返し・引き出物の金額の相場
一周忌法要のお返し・引き出物の選び方
一周忌法要のお返し・引き出物の表書き
一周忌法要のお返し・引き出物の渡し方
まとめ
一周忌とは
仏教では、人が亡くなると故人の冥福を祈り、四十九日の忌明けまで7日ごとに法要を行います。その後の供養は、年を単位とする年忌法要に移行するのですが、四十九日法要の後、最初に行われる法要が「一周忌法要」です。遺族にとっては、一周忌を以て喪があけるとされることもあり、大きな意味を持つ大事な法要です。
※四十九日法要と一周忌の間には、100日目に行う「百か日法要」がありますが、昨今では省略化される傾向にあるようです。地域にもよりますが、1年の間に何度も集まることが難しいことが大きな理由です。
一周忌とは、亡くなった日から数えて満1年目に行われる法要のこと。この後、満2年目には三回忌の法要を、満6年目には七回忌の法要を行います。これは命日である亡くなった日が、1回目の忌日であるという考え方に基づいています。ただ、亡くなった翌年の命日は2回目の忌日ですが、2回忌ではなく、一周忌といいます。
ちなみに、●周忌という言い方は一周忌のみで、それ以降は●回忌となるため、覚えておきましょう。
一周忌法要では何をする?
一周忌法要は、喪明けとなる最初の年忌法要ということもあり、大がかりに実施するのが一般的です。四十九日にお参りくださった方々を中心に、家族や親戚はもちろん、故人にゆかりのある方々をお招きして行います。
僧侶に読経をお願いして法要を行った後は、会食の席を設け参列者をもてなし、故人を偲びます。また、一周忌に合わせて納骨をする場合や、お墓参りをする場合もあります。
一周忌法要の流れ
葬儀・告別式とは違い、一周忌法要には儀式の決まりはありません。特に不都合がなければ、次のような流れで執り行われます。
1.僧侶を迎える
2.施主による挨拶の後、読経開始
3.読経が始まると、施主から順にご焼香を開始
4.僧侶による法話(省略される場合もある)
5.施主による挨拶(参列へのお礼と会食へのご案内)
6.「お斎」と呼ばれる会食(ここで引き出物をお渡しする)
7.施主による挨拶でお開き
一周忌法要の準備
一周忌法要は、事前の準備が何より大事です。次のような段取りで準備を進めましょう。
一周忌法要の準備(1)日程決め
最初に決めるべきは「日程」です。命日からちょうど1年目の祥月命日が本来の日程ですが、当日が平日の場合もあるでしょう。多くの方々に集まっていただくことを考えると、その近くの土日祝日を選ぶのが現実的です。
この場合は、祥月命日よりも前倒しであれば良いといわれています。祥月命日よりも後ろになるのは避けましょう。
一周忌法要の準備(2)僧侶のスケジュール確認
日程の目途がついたら、僧侶のスケジュールを確認し、法要を執り行っていただくように正式にお願いします。
一周忌法要の準備(3)場所決め
次に「場所」を決めます。法要の場所は、お寺、自宅、セレモニーホール、墓所などが挙げられますが、たいていは四十九日に実施した際と同じ場所で行います。会食の場所は、お寺、自宅、セレモニーホール、ホテル、料亭と選択肢が増えますので、集まる方々の状況を考えながら選ぶと良いでしょう。
法要の場所と違う場所で会食をする際は、移動手段の確保も併せて準備が必要です。
一周忌法要の準備(4)参列者への案内
日程と場所が決まったら、次はお招きする方々への連絡です。基本的には、返信はがきを入れたお手紙や往復はがきでお知らせします。
ただ、親戚や親しい友人のみが対象であれば、電話やメール、メッセージアプリなど普段使用する連絡手段でお知らせしても良いでしょう。
一周忌法要の準備(5)引き出物の準備
当日お持ち帰りいただく引き出物の発注も忘れてはいけません。ポイントは、参列者の数ちょうどを注文するのではなく、2~3個追加した数を準備することです。法要には来られないもののお供えだけ送ってくださる方、当日急に参列してくださる方がいらっしゃった場合に慌てずに済みます。
一周忌法要のマナー
故人が亡くなって丸1年。節目となるこの法要では、故人を偲び思い出すことがまたひとつの供養です。遺族にとっても、ゆかりのある方々と故人の冥福を祈る大事な機会といえます。それだけに気持ち良く法要を行えるよう、失礼のない振る舞いで参列したいものです。
一周忌法要のマナー(1)出欠の連絡
一周忌法要のお知らせをいただいたら、出欠の返事はすぐに出しましょう。お招きする側の遺族にとっては、会食や引き出物の準備のために正確な人数を早く知りたいものです。相手の負担を少しでも軽くする思いやりといえるでしょう。
一周忌法要は、他のスケジュールよりも優先されるべき行事と心得て、できるかぎり出席するのがマナーです。それでもどうしても都合がつかない場合にのみ、欠席をお知らせします。その場合にも、お手紙とともにお供えをお送りする心遣いが大事です。
一周忌法要のマナー(2)服装
一周忌法要は、この法要を以て遺族の喪が明けるとされます。つまり、それだけまだ喪の色が濃いということ。遺族、参列者ともに、三回忌までは喪服を着用するのが一般的なマナーとされています。
具体的には、男性はブラックスーツ(シングルかダブルの黒のスーツと黒のネクタイ)、女性はブラックフォーマルスーツ(黒のワンピース・ツーピース・アンサンブルなど一般的な女性の喪服)を着用します。ビジネススーツとは全く別物ですので、注意しましょう。
※案内時に「平服で」という指示がある場合は、それに従ってください。
一周忌法要のマナー(3)お供えの金額や表書きなど
一周忌法要にお招きされたら、参列者はお供えを持参します。金額の目安は、葬儀・告別式のときの香典の半額程度です。
のしなしの掛け紙に、白黒または白黄結び切りの水引を用意しましょう。表書きには、供物であれば「お供」「御仏前」「御佛前」、金封であれば「御仏前」「御佛前」「御供料」「御香料」と書きます。薄墨ではなく濃墨で書きましょう。
なお、金封に入れる現金は、古札でなくても大丈夫です。一周忌法要は、あらかじめ日程がわかっている弔事だからです。気になる場合は、新札を真ん中で一度折ったお札を入れると良いでしょう。
一周忌法要のマナー(4)時間
一周忌法要には、時間の30分前ぐらいには到着するようにしましょう。そうすると、施主へのご挨拶やお供えをお渡しする時間に余裕を持てるので安心です。また何か急ぎの用事があったとしても、法要の途中で席を立ったり、帰ったりということがないようにしましょう。
一周忌法要のお供えについて
一周忌法要のお供えは、一般的な弔事のお供えと同様の考え方で選ぶと良いでしょう。
一周忌法要のお供えの選び方
弔事全般で、お供えには適さないものがあります。仏事では殺生を嫌うので、「四つ足生臭物」は避けましょう。つまり肉や生魚です。ただ、この頃は気にしない人も増えているので、調理済み・加工済みのものに関しては、特に気にする必要はないでしょう。
一周忌法要は、数日間にわたりお供えを置いておくお盆やお彼岸とは違い、一日で終わります。そのため、法要が終わると、その日のうちにお下がりを分けていただきます。特に賞味期限に気を使う必要がないのが良い点。他の弔事のお供え同様に、分けて持ち帰ることを考慮し、個包装のものを選ぶのがおすすめです。
一周忌法要のお供えの渡し方
一周忌法要に参列するのは、主に故人の親戚や親しい友人です。親しいが故に、持参したお供えを仏壇に直接供えたい気持ちはわかりますが、それはやめましょう。
会場に到着したら、まずは施主にご挨拶をし、その折りにお供えをお渡しします。施主から「直接仏壇に供えてやってほしい」といわれた場合は、そのようにしてください。
一周忌法要のお供えの金額の相場
お供えは「品物だけ」あるいは「現金だけ」で大丈夫ですが、両方を持参する場合もあります。その場合は、品物+現金で10,000円程度が目安です。
しかし、一周忌法要では、たいてい会食が用意されています。参列者はその会食代にかかる費用を考慮して、お供えをお持ちする心遣いが必要です。会食の会場にもよりますが、会食代分としては1人5,000円~10,000円程度を上乗せする金額を持参しましょう。迷った場合は、多めの金額を包むのがポイントです。
一周忌法要のお返し・引き出物について
一周忌法要を執り行った側からも、お供えに対する返礼品として引き出物をお持ち帰りいただきます。郵送でお供えを送ってくださった方の分や、当日急にお参りくださる方の分も考えて、参列者の数よりも2~3個多めに引き出物を準備しましょう。
一周忌法要のお返し・引き出物の金額の相場
一周忌法要のお返し・引き出物の金額の目安は、いただいたお供えの金額の1/3~半額返しが一般的です。ただし、会食を用意する場合は、お食事と引き出物の合計がいただいお供えの7割から同額程度を目安に。相場は3000円~5000円ぐらいです。
一周忌法要のお返し・引き出物の選び方
一周忌法要の引き出物は、弔事全般の引き出物と同に、消えもの・消耗品が良いでしょう。「食べてなくなるもの」や「日々の生活で使ってなくなるもの」が良いとされています。
代表的なものとしては、お米、お茶、海苔、石鹸、タオルなどが挙げられます。
一周忌法要のお返し・引き出物の表書き
一周忌法要の引き出物には、のしなしの掛け紙を使います。水引は、白黒、白黄の結び切り。表書きは「粗供養」「志」とします。
水引の下の箇所には施主の名前を書きますが、「苗字だけ」「苗字と名前」「苗字+家」のどれでも問題ありません。薄墨ではなく濃墨を使用します。
一周忌法要のお返し・引き出物の渡し方
引き出物は、会食会場に準備しておき、法要後の会食の場でお渡しします。食事が始まったら1人1人の席を回り、手渡しするのが丁寧です。あるいは、会食終了後のお見送りの際に出口でお渡しするという方法もあります。
いずれにしても、直接顔を見てお礼を伝えることが、参列してくださった方に礼を尽くすことになります。
まとめ
大切な人を亡くした遺族にとって丸1年を迎える一周忌。一周忌法要は、故人の冥福を祈る年忌法要の始まりです。しかし同時に、遺族がなんとか無事に過ごしていることを、周囲の人に報告する場でもあります。だからこそ、お招きを受けた方は、何をおいても参列するようにしましょう。故人をしのぶ思い出話をして、同じ時間を過ごす。これがなによりのご供養で励ましになります。
一周忌法要のお供えやお返しは、最低限の決まりさえ守っていれば、さほど厳格ではありません。もしも何にすれば良いか迷ってしまうとお困りの場合は、こちらを一度ご覧ください。
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