満中陰志の挨拶状を贈る時期はいつ?例文・テンプレートで覚える書き方とマナー

満中陰志の挨拶状を贈る時期はいつ?例文・テンプレートで覚える書き方とマナー

最終更新日:2022-06-01

法要を済ませると、通夜や葬儀にて弔慰金をいただいた方々に香典返しを送る時期となります。初めての通夜や葬儀の場合、こうした香典を贈る際のマナーについて知らない点も多いかもしれません。ここでは、そうした方々が押さえておくべき香典返し(満中陰志)について、贈る時期や挨拶状の書き方などを例文・テンプレートと併せて詳しくご紹介します。

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満中陰志とは

満中陰志(まんちゅういんし)は、四十九日の法要における、通夜や葬儀などに参列いただいた方に対して贈る香典返しを指す言葉です。満中陰志という言葉は全国的に使われているというわけではなく、西日本の一部の地域(主に関西地方)で用いられています。

満中陰志の「中陰」は、仏教用語で「人が亡くなった後の四十九日間」を意味しています。そして四十九日目の日を「中陰が満ちる日」として、満中陰と読んでいます。そして「志」は、品物やお金を贈ることで感謝の意を表すことを指しています。

なお、中陰は仏教用語であることからキリスト教などの他の宗教では「満中陰志」という言葉が用いられることはありません。キリスト教の場合は、キリスト教の四十九日にあたる三十日祭(プロテスタントの記念式、カトリックの追悼ミサにあたる日)に贈られることが多いようです。

香典返しの表書きとして関西地方では多く用いられる「満中陰志」ですが、全国的には「志」とだけ記されることも少なくありません。もしも自分が住んでいる地域がどちらを用いているのか不明な場合は、「志」とだけ書いておくとよいかもしれません。

満中陰志の挨拶状について

満中陰志は、従来であれば参列くださった方々の元へ直接うかがい、お礼の言葉とお礼の品をお渡しするというのが一般的でした。しかし近年では、全国各地から参列することも多くなっていることから、挨拶状を添えてお礼の品をお贈りすることが多くなっています。

挨拶状を渡す時期

満中陰志に挨拶状を渡す時期は、一般的な香典返しと同様で四十九日が済んだ後です。満中陰志は四十九日が済む前に贈ることはできないため、贈る時期を間違えないよう注意が必要です。なお、葬儀が行われたその日にその場でお返しをする「即日返し」もあるため、お返しは「その日に返す」もしくは「四十九日後に返す」のいずれかであることを覚えておくとよいでしょう。

挨拶状は印刷ではなく手書きの必要がある?

満中陰志の挨拶状を書く際に、「手書きでなければならないか?」との疑問を持つ方も少なくありません。本来、満中陰志の挨拶状は「奉書紙」と呼ばれる用紙で1枚にまとめて手書きをするというのが正式な形とされています。しかし近年では、ハガキやカードに印刷したものを送ることも一般的になりつつあります。そのため、必ずしも手書きとする必要はなく、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。なお、用紙を奉書紙として、文字は印刷という方法で書かれることもあります。

挨拶状なしは失礼?

満中陰志を贈る際、挨拶状をセットで贈ることがマナーとされています。ただし、例外的に挨拶状を添える必要がないケースもあります。

挨拶状が必要ではないケース

満中陰志を贈る際には原則として挨拶状が不可欠ですが、満中陰志を直接お渡しできる場合には挨拶状は必要ありません。直接お渡しする場合は、その場でお礼の言葉をお伝えするようにしましょう。お伝えする内容は挨拶状に書かれるような長いものではなく、一言・二言で問題ありません。受け取る側の都合を考慮しながら、簡潔に伝えることが大切です。

満中陰志の挨拶状の書き方

満中陰志の挨拶状を書く際に含める内容としては、主に以下のものが挙げられます。

内容①頭語と結語

挨拶状は、「謹啓」や「恭敬」「粛啓」などの頭語から始めて、文章の最後は「敬具」「謹言」「謹白」などの結語で終わります。頭語と結語は必ずセットで書かれるものであり、どちらか一方のみを書くのは誤りとなるため注意が必要です。挨拶状に必ず頭語を含めなければならないという決まりはありませんが、含めない場合は結語も書かないようにします。

内容②葬儀への参列と香典に対するお礼

頭語の後は、葬儀への参列や香典をいただいたことに対するお礼を伝えます。なお、亡くなった方が生前に親交が深かった相手の場合には、生前のお付き合いのお礼を伝えることもできます。

内容③四十九日の法要が済んだ旨

お礼を述べた後は、四十九日の法要が無事に済んだ旨を伝えます。

内容④満中陰志の品を贈った旨

法要が済んだ旨を伝えると共に、満中陰志の品を贈った旨も伝えます。

内容⑤お詫び

本来であれば直接うかがってお伝えするべきお礼と、直接お渡しする品が送付という形になってしまったことに対してお詫びします。

内容⑥法要日の日付と差出人の名前

挨拶状の冒頭に頭語を書いた場合には、お礼やお詫びなどの本文の後に結語を書きます。最後に、法要日の日付と差出人の名前を記載します。

満中陰志の挨拶状のマナー

満中陰志の挨拶状を書くにあたって、守るべきマナーがいくつかあります。これらを知らずに送ってしまうと相手に失礼にあたるため、事前に押さえておくことが大切です。

マナー①:長文になりすぎない

挨拶状を書く際のマナーとして、「簡潔に書く」という点が挙げられます。挨拶状のように自身の言葉で想いを伝える場合、相手との関係性によって必要以上に長く書き綴ってしまうこともあります。しかし、挨拶状の本来の意義は目的を簡潔に伝えるという点にあります。そのため、あらかじめ決められた形式に従い、長すぎないものにすることが大切です。

マナー②句読点を用いない

満中陰志に限らず、多くの挨拶状では句読点を用いないというのがマナーです。これは、句読点が文章を「止める」意味を持つため、たとえば満中陰志の場合は法事を、そして結婚式などの場合はその祝い事を止めてしまうということから、使用が避けられていると考えられています。また、古来では句読点を用いるのは「教養のない人でも文が読めるように」という意味があったことから、その名残ともいわれています。

マナー③重ね言葉(繰り返し言葉)を用いない

挨拶状では、「重ね重ね」や「しばしば」、「ますます」「くれぐれ」のように同じ言葉が繰り返される重ね言葉を使用することがマナー違反と考えられています。これは、重ね言葉によって葬式のような不幸が繰り返されることを連想させるためです。そのため、重ね言葉は他の言葉に書き換える必要があります。たとえば「重ね重ね御礼申し上げます」であれば「心より御礼申し上げます」に置き換えたり、「くれぐれもご自愛ください」であれば「何卒ご自愛ください」に置き換えたりします。

マナー④二重の封筒に入れない

満中陰志の挨拶状は、作成時だけでなく送付時にも守るべきマナーがあります。そのひとつが、「挨拶状は一重の封筒に入れる」という点です。これは、二重の封筒の場合は「不幸が重なる」と考えられ、不吉であると考えられているためです。なお、近年ではハガキやカードに挨拶文を印刷することも多くなっています。この場合は、一重の封筒と同じ扱いになりますのでマナー違反とはなりません。

満中陰志の挨拶状の例文

初めて満中陰志の挨拶状を作成する際は、馴染みのないことから戸惑うことも多いかもしれません。挨拶状に特有の表現などもあるため、作成に当たっては例文を参考にするとよいでしょう。以下では、基本的な満中陰志の挨拶状の例文をご紹介します。

例文その1


謹啓
御尊家ご一同様にはなお以って御清祥の事とお喜び申し上げます先般 亡父○○ 葬儀に際しましてはご繁忙中にもかかわらず御懇篤なる御弔慰を賜り尚格別の御厚志に預かり御芳情の程誠に有難く厚く御礼申し上げますおかげをもちましてこの度四十九日法要を滞りなく相済ませましたつきましては追善の微意を表し心ばかりの品をお届けいたしますのでご受納くださいますようお願い申し上げます本来であれば拝眉の上御礼申し上げるのが本意ではございますが略儀ながら書中を以って謹んで御礼御挨拶を申し上げます
粛言
令和○年○月
                               氏名

例文その2


啓上
御尊家御一同様にはいっそう御清祥にお過ごしの事と存じますさて過日 亡夫○○儀死去の節には御繁忙中にもかかわらず御懇篤なる御弔慰ならびに御芳志を賜り誠に有難く厚く御礼申し上げますおかげをもちましてこのほど満中陰の法要を滞りなく相営み忌明仕りましたこれ偏に皆様のおかげと感謝いたす次第でございます偲び草の御印までに心ばかりの品をお贈りいたしますので何卒御受納いただけますと幸いにございます本来であれば拝趨の上御礼申し上げるべきではございますが略儀ながら書中をもちまして謹んで御礼の御挨拶申し上げます
敬白
令和○年○月
                               氏名

まとめ

満中陰志を贈るにあたって、初めての場合は一緒に添える挨拶状の作成で迷ってしまうという方も多いかもしれません。満中陰志の挨拶状を書くに当たっては、守るべきマナーや型があります。慣れない場合は上述した例文を参考に、マナーに注意しながら作成してみてはいかがでしょうか。

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