最終更新日:2023-11-02
産地銘柄を伏せて五感で本当に甘いお米を選ぶ、お米番付。今年入賞を受賞したのは、岐阜県高山市で育てられたコシヒカリだった。近年食味コンクールで名前を聞く機会が増えた飛騨高山地域のお米。入賞を受賞した森本さんは、単独プレーだけで終わらないお米づくりをされていた。
稲が持つポテンシャルを信じる、バディプレー
森本さんは我が子の成長を見守る親のように、稲の持つポテンシャルを信じる。化成肥料を使わず有機肥料を使い、それも指定量の半分ほどしか使わない。「稲が元々持っているエネルギーを引き出して、メタボ米ではなく細マッチョ米を作っているんだよ」と話す森本さん。収穫量に拘るのではなく、栄養が詰まったお米を栽培する。そのため一般的な慣行栽培では、一反( 約1,000㎡)あたりで8~9俵収穫できると言われているが、森本さんのお米は6.5俵ほどしか収穫できない。その代わりに甘みと旨みの詰まったお米が実る。稲とのバディプレーで、森本さんのおいしいお米は実る。
元々流通関係のサラリーマンだった森本さん。約300年前から続く実家の農業を継いだのは2009年。森本さんで9~10代目になる。就農してすぐ、お米の食味コンクールにエントリーした。賞を取ることができた年もあれば、取ることができなかった年もある。その度に「なぜその結果になったのか、どうしたら美味しいお米ができるか」とサラリーマン時代に培った分析力と企画力をお米づくりに生かした。
農家さんとの和を大切にする、チームプレー
森本さんは以前、農家の先輩から「岐阜県のお米は、新潟県、富山県、石川県、福井県、そして岐阜県といった近隣5県のお米の中で、どうしてもおいしさは5番目なんだ」と言われたそうだ。しかし、森本さんは産地でお米の美味しさが決められることに納得が行かなかった。実際、森本さんのお米は一般的に米どころと言われる新潟県魚沼地域の方からおいしいと評価されることもこれまでにあった。そこから、飛騨高山地域のお米をおいしいと言ってもらえるように、5年前から「飛騨高山おいしいお米プロジェクト」という農家の研修会を開くようになった。
お米を産地銘柄で選ぶ人は多いが、それだけでおいしさは決まらない。同じ飛騨高山産のコシヒカリでも、育て方によって味わいは変わる。それをどうしても証明したかった森本さん。「わたしはお米のプロではないが、マネジメント分析や企画のプロ。おいしいお米の作り方を分析してわかったことはみんなに共有したい」と話す。そのために農家さん同士の情報交換は何よりも大切にする。「飛騨高山おいしいお米プロジェクト」はその一環だ。最近では食味コンクールなどでも飛騨高山地域のお米がおいしいと評価されるようになり、高く売れるようになってきたそうだ。今回お米番付2022で入賞できたのは、農家さんとの和を大切にしてきたチームプレーが間違いなく影響している。
単独プレーでは終わらない、森本さんのお米づくり
森本さんにとってお米づくりは「ワクワク、ドキドキ、ハラハラさせてくれるもの」だそう。数年前まで食味コンクールにあまり出てこなかった飛騨高山のお米。今回入賞を受賞したお米づくりには、森本さんの単独プレーで終わらない稲とのバディプレー、そして農家さんとの和を大切にするチームプレーがあった。
4月1日(土)から4月2日(日)まで、米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗にて森本さんのコシヒカリが提供される。今回のお米はお肉や味のしっかりついたお魚料理との相性がとてもいい。また、卵かけご飯にしても絶品なので、是非追加メニューの卵を追加して一緒に食べて欲しいそうだ。森本さんもご家族と一緒に京都祇園まで食べに行かれるそうで、親孝行できると満面の笑みを浮かべられていた。