最終更新日:2024-03-05
子どもにいただいた入学祝いや入園祝いのお返しに贈る「入学内祝い」「入園内祝い」にタブーが存在していることをご存知でしょうか?
お祝いに対する御礼の気持ちを伝え、相手に喜んでもらうために贈る内祝いにもかかわらず、品物によっては失礼にあたることも… …。
本記事では、入学内祝い・入園内祝いで贈ってはいけない物をはじめ、入学内祝い・入園内祝いを贈る際に守りたいマナーについてマナー講師が解説します。
入学・入園内祝いの6つのタブー
古来より日本では、子どもの成長を喜び、その節目を祝ってきました。入学・入園も、門出を喜ぶお祝い事のひとつです。
「お祝いをお裾分けする」意味で周囲に配ったのが本来の内祝いの姿ですが、最近では、頂いたお祝いへのお返しとしての内祝いがすっかり定着しました。どちらの意味であっても、入学・入園の内祝いに込められた子どもの成長を祝う気持ちに変わりありません。
子どもに関わるお祝いは、本人にとってだけではなく、その子を慈しみ育んできた両親にとっても大きな意味を持つ晴れやかなお祝いです。このような舞台に翳(かげ)りをもたらすことがないよう、入学内祝い・入園内祝いのタブーを理解してしっかりと準備をしましょう。
1.贈るのが遅すぎる
入学祝い・入園祝いは子ども宛てに頂くものですから、お返しは不要とされています。しかし実際は、先に述べたように内祝いとしてお返しするのが一般的です。そのため、お返しをするのが、遅すぎてはいけません。お祝いを贈ったことも忘れた頃になってようやく内祝いが届くようでは困ります。お祝いを喜んでいなかったり、軽んじていたりする印象を与えるからです。
入学・入園のお祝いは、たいてい1月から4月までの3か月の間に頂くものですので、内祝いは4月中に贈ると心得ましょう。ただし、お祝いを頂いたらすぐ、電話や口頭でお礼をするのを忘れずに。「後日改めてきちんとお礼をさせて頂く」ことを伝えておくのがポイントです。
そのうえで4月中に先方に届くように、入学内祝い・入園内祝いにお手紙を添えて贈る、あるいは持参するのが良いでしょう。入学・入園後、子どもがどのように過ごしているかを報告することもできるので、喜んでいただけるはずです。
2.いただいた金額よりも高価なものを贈る
いただいた金額よりも高価な内祝いは避けましょう。お祝いを贈ってくださった方を嫌な気分にさせてしまうと同時に、感謝の思いが伝わりません。
内祝いの金額は、頂いた金額の半分が相場です。半返しという言葉があるように、頂いたものの半分に当たる程度を返すのが日本の古くからの習慣ですが、最近では1/3程度のお返しもあります。相手との関係によっていずれか適切な金額で考えましょう。
なお、祖父母や親戚からは、高額な入学祝いや入園祝いを頂くケースもあるでしょう。それは多少なりとも、その子の教育費の助けになればという思いが含まれています。この場合には、1/3返しや半返しにこだわる必要はありません。5千円~1万円程度を目安にすると良いでしょう。
3.誰かに頼んで贈る
祖父母や親戚の知り合いなど、直接はあまり知らない間柄の人から入学・入園祝いを頂くことがあるかもしれません。その内祝いを、祖父母や親戚に頼んで贈るのはいけません。
内祝いは感謝の気持ちを込めて自分で贈るなり、持参するのが礼儀といえるでしょう。
4.のしや包装がされていない
「包む」「かける」「結ぶ」が、日本の贈答品のしきたりです。のしや包装がされていない品物を内祝い品としてお渡しするのは失礼にあたります。先方がくださったお祝いの心に無礼で返すことは、自分の子どものお祝い事を汚すことにもなりかねません。
「(紙で)包む」「(熨斗紙を)かける」「(水引で)結ぶ」という3つの過程で体裁を整えた品物を贈るようにしましょう。熨斗紙には「入学内祝い・入園内祝い」あるいは「内祝い」と記し、贈り主の名前は「子どもの氏名」を書きましょう。水引は「白赤の蝶結び」、包装は「内のし」が適切です。
5.同じ種類のものを贈る
頂いたものと同じ種類のものを贈ってはいけません。「贈ったものが気に入らなかったから、同じ種類の別の物を贈ってきたの?」や「マウントをとってきたの?」など、先方が「なぜ?」と不愉快に思う可能性が高いことは避けるようにしましょう。
6.お日柄を選ばずに贈る
結婚や結納ほどではないにしろ、お日柄を多少は気にすると良いでしょう。子どもの成長に関わるお祝いごとですので、できれば内祝いも良い日を選び、先方に届くようにしたいもの。「仏滅」や「赤口」の日はなるべく避けて、「大安」や「友引」の午前中がおすすめです。持参する場合も同じです。
入学・入園内祝いに贈ってはいけない品物
日本には、昔から言い伝えられてきた「縁起の悪いこと」があります。厳格な決まりではありませんが、生活に根ざす文化・風習なので、知らずにしてしまうと「常識がない」と思われるかもしれません。入学・入園内祝いでタブーとされる品物と、その理由を見てみましょう。
お金・商品券等の金券
入学祝いでは、お金や図書券を頂くことも多いですが、その内祝いにお金を返しては、お金のやり取りになってしまいます。これは「品が悪いこと」。頂いた金額が多く、商品だけではお返しできないという場合は、先方もお返しを望んではいないことがほとんどです。1/3返しや半返しにこだわらず5千円~1万円程度の商品を贈りましょう。
靴下、スリッパ、靴
入学・入園内祝いに限らず、足に履くものを目上の方に贈るのはタブーです。足の下にあるもの、つまり相手を踏みつけることにつながり、見下されていると誤解される可能性があるからです。
数字の9や4がつくもの
9や4は「忌み数」ともいわれ、苦や死を連想させることから、特に年配の方は気にします。詰め合わせでは、9つ入りや4つ入りは避けましょう。また、「櫛」や「シクラメン」などはタブーです。
包丁・ハサミ・ナイフ・ペーパーナイフ
特にハサミやナイフ、ペーパーナイフは、外国製のステーショナリーとして素敵なデザインのものも多く、洒落た贈り物として差し上げたいと思うこともあるかもしれません。しかし、これもタブー。刃物は「ご縁を切る」につながるからです。
ハンカチ
ハンカチは「てぎれ」ともいわれます。「手切れ」「お別れ」を連想させるものとして、入学・入園の内祝いにはタブーです。
お茶
お茶は弔事で贈られる品物の代表格です。縁起が悪いとされ、お祝い事にはタブーです。
入学・入園内祝いにおすすめの品物4選
入学・入園の内祝いにはいわゆる「消えもの」、食べたり使ったりして無くなるものが定番です。そのような「消えもの」をお贈りする際には、「高級」「上質」「格」このキーワードを意識した品物をお贈りするようにしましょう。
また、入学・入園のお祝いは祖父母や親戚など、親しい間柄の方から頂くことが多いので、内祝いには先方の好物をお贈りしやすいという利点があります。相手に喜んで頂けるものを選ぶことで、よりいっそう感謝の気持ちが伝わるでしょう。
1.お米
日本人の食生活のベースであるお米。日本の行事が米作りに起源を持つことを考えると当然ですが、お米は昔から食物としてだけでなく、貨幣であり、力でした。お祝い事にはお赤飯、御餅、酒という形でお米の存在がつきものです。現代においても、お米が担う縁起の良さは変わりません。入学・入園の内祝いには、最適な品といえるでしょう。
2.スイーツ
和菓子、洋菓子ともに、豊富な種類の目を引くスイーツがあふれています。内祝いをお贈りする相手の好みに合わせて選びましょう。縁起のよいバームクーヘンや、高級な和菓子が人気です。賞味期限が短いものは不向きですので、気を付けましょう。
3.フルーツ
お祝い事で贈るハレのフルーツといえばメロンが定番でした。しかしこの頃は、品種改良や工夫によって特別なフルーツの種類も増えています。そんな中、フルーツを内祝いに贈るのも喜んでもらえるでしょう。スイーツ同様、賞味期限の確認は必要です。
4.タオル
タオルはいくらあっても嬉しいものです。特にワンランク上の高級で品質の良いものは喜ばれます。最近は日本製で産地こだわりのタオルが人気です。
まとめ
入学・入園内祝いのタブーを説明してきましたが、「なぜそうなのか?」を知ると納得できることばかりではないでしょうか。より合理的に、より簡単になる世の中において、あれこれと気を使いながら内祝いを選ぶのは面倒だと感じるかもしれません。
しかし、日本の習慣として言い伝えられてきたタブーは、人を窮屈に縛り付けるためではありません。大切な祝い事に、万に一つも水を差す事がないようにと気遣った先人たちの心なのです。このような日本人の心は、日々の生活の中で親が子に伝えていくもの。入学・入園の内祝いは、ぜひお子さまと一緒に準備していただきたいと思います。お祝いを頂いたお子さまが、自分の入学・入園を祝ってくださる方への感謝の気持ちを持つだけではなく、それを形に表すことまでが大切なのだと学ぶ良い機会になるはずです。
ただ、入学・入園内祝いを、一から自分たちで整えるのは大変かもしれません。そのときは、気になることがすべてサービスメニューに入っているサイトを利用するのもひとつの手段です。
「八代目儀兵衛」では、「熨斗紙」「7種類の一筆箋」「自分で作れる写真入りメッセージカード」「4色の箱色」の4つのサービスが無料で利用できます。さらに有料では、「風呂敷包み」や「手提げ袋」までお手伝いしてくれるなど、慣れない入学・入園内祝いをきちんと贈るためのサポートが充実。品物選びだけでなく、メッセージの作成などもお子さまと一緒に吟味しながら準備するのも良いのではないでしょうか。