【番付受賞米シリーズ】“毎年ブレないおいしさのお米”がテーマ、受け継がれる“みやざわ”に込めた想い

【番付受賞米シリーズ】“毎年ブレないおいしさのお米”がテーマ、受け継がれる“みやざわ”に込めた想い

最終更新日:2023-11-11

お米番付」の歴代受賞者の中でも、食べた瞬間に感動するほど「粒の生きた」上質なお米をつくる 8 名の生産者を厳選した「番付受賞米シリーズ」。今回そのうちのひとつとして選ばれた宮澤和芳さんのコシヒカリは、今年で第10回大会となる「お米番付」第1回大会、第6回大会、第9回大会と3回受賞歴がある。ご自身の経験と学びを無駄にせず、“毎年ブレないおいしさのお米”をご自身のお米づくりのテーマにされている宮澤さん。これまでの経緯と、会社のマークに込められた今後の目標について伺ってきた。

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安曇野の地で代々伝わる、宮沢家のお米づくり

お米づくりに恵まれた安曇野の自然に囲まれて、宮澤さんが家業の5代目としてお米づくりを始めたのは2006年だった。学生時代は東京で暮らし、お米づくりと無縁の生活をしていたが、ご両親の体調不良をきっかけに帰郷。その時に安曇野の地で代々受け継がれてきた、家業の魅力を再発見したことが就農のきっかけとなった。

宮澤さんの田んぼがあるのは長野県安曇野市。北アルプスから流れ出る豊富な雪解け水が田んぼを潤す。砂状の土が多いため、バランスの取れた甘みのお米が育ちやすい。また標高が600m前後の場所のため、夏でも冷涼で湿度が低い。稲が病気にかかりにくく地域全体で農薬の使用量が少ないそうだ。そのため、宮澤さんの田んぼで収穫されたお米も、農薬の使用量を極限まで抑えて肥料は有機のものに拘った、特別栽培米だ。

就農して初めの数年はお父さんにお米づくりの基礎を教わり、その技術を少しずつ習得していった。宮澤さん一家が代々大切にされてきたのは“冷めてもおいしいお米”。伝統的に使っているミネラル肥料は、お米が持つ甘みと旨みを更に引き出す。お父さんの宮澤さんへの指導の仕方は“自由にやらせる”。2010年頃からお米の品種、栽培方法、どの田んぼにどのお米を植えるかなど、全体の管理を宮澤さんの裁量で決定するようになった。

お客様の声が生産者を変えた“毎年ブレないおいしさのお米”

就農時からおいしいお米づくりに注力し、研究し続けてきた宮澤さん。食味コンテストにも積極的にエントリーし、多くの賞を受賞してきた。今年で10年目となる八代目儀兵衛「お米番付」でも第1回大会、第6回大会、第9回大会と3回受賞歴がある。第1回大会の初受賞を機に増えた他の農家さんとの繋がりは、農業人生の中でもかけがえの無いものとなったそうだ。今よりもおいしいお米を作るため、他の農家さんの育て方を積極的に学び、教えてもらったことをご自身のお米づくりに取り入れていった。しかし地域の環境が違う他の農家さんのお米づくりをそのまま取り入れてもうまくいかないことが多い。ご自身の農地に合わない育て方をしたり、一家が代々継承してきたお米づくりの基礎を見失ってしまう時期があったそうだ。この時期は宮澤さんにとって、色々なことに挑戦したがその想いが空回りする辛い時期だった。その間もお父さんは宮澤さんのお米づくりに口出しせず、静かに見守ってくれた。この時期は、結果として大切な期間だったと振り返る宮澤さん。お父さんのお陰で自分で考えて挑戦し続けることができ、結果として多くの経験と学びを得ることができたのだ。

そんなある日、お父さんの代の頃からお付き合いのあるお寿司屋さんにある指摘をいただいた。「お前には期待をするから厳しい言葉を言うが、先代の米は味がブレなかった。しかしお前が米作りをやるようになってから、味がブレるようになった」と言われたのだ。リピートしてくださるお客様は、昨年と同じ味を想像して購入している。その時から、“毎年ブレないおいしさのお米”を収穫することが宮澤さんのお米づくりのテーマとなった。他の農家さんの育て方ではなくご自身の田んぼと向き合い、宮澤家で代々受け継がれてきたお米づくりの基礎に立ち返る。それを大切にしながら、毎年安定的にブレないおいしさのお米を届けるため、稲の成長を記録した作業日誌をつけるようになった。感覚に頼らず稲の成長をデータ化し、従業員にも共有できるように工夫を凝らす。こうして宮澤さんはお米番付第6回大会で2度目の受賞を果たした。「あの時お客様からいただいたお言葉は、本当にありがたかったです。あの言葉がなければ自分で満足しているだけの米作りになっていたと思います」と宮澤さんはお客様からの愛のある厳しい言葉に感謝する。

一度は離れてしまう期間もあった、宮澤家の田んぼのことを熟知した肥料屋さんにも再び頼るようになった。自分がこうしたいと思っていることを相談すると、的確なアドバイスをくれる。“毎年ブレないおいしさのお米”を目指す宮澤さんにとって大切なパートナーだと、今は改めて感じているそうだ。現在は魚粕などを発酵させたものや、米糠に魚のエキスを吸着させた、更に優しい有機肥料を使用するなど、使用する肥料についても日々進化を遂げている。

お米づくりは子育て

宮澤さんは「お米づくりは子育てに似ていると思うんです」と話す。我流になってしまわず、昔からある子育ての基礎を大切にすることも重要だ。また一人で考え込まず、自分の両親やその領域に詳しい人にアドバイスをもらうことも時には必要。宮澤さんもお父さんの教えやお寿司屋さん、そして肥料屋さんなど周囲の支えがあり、今のお米づくりにたどり着いた。

そして最近ではSNSを通じて子育てについて発信する親御さんも多いが、これについても同じことが言える。農家さんの中にご自身のお米づくりについて発信する方が増えたため、宮澤さんも積極的に情報収集するようにしているそうだ。興味深い栽培方法をされている農家さんを見つけたら、自分から連絡することもあるそうだ。衛星撮影など先進的なアイテムを導入したり、昨年からは生育診断用のドローンも活用し始めた。

代々続く“冷めてもおいしいお米”

そして昨年開催された、お米番付の第9回大会にて3回目の受賞を果たした宮澤さん。現在では“毎年ブレないおいしさのお米”と信頼される農家さんとなった。お客様から「宮澤さんのお米に変えてからご飯がおいしい!」と言ってもらえたり、お米に拘るお弁当屋さんからは「お客さんが増えました」と嬉しい言葉をもらった。以前指摘をもらったお寿司屋さんからも「収穫直後の新米だけではなく、年明けから春にかけてもお米が熟成して更においしいくなる」など新しい発見をいただいたそうだ。

宮澤さんのおすすめの食べ方は塩にぎり。冷めても変わらずおいしいのが自慢のポイント。「私のお米を食べて、消費者さんに笑顔になってくれることが1番嬉しいです。食べる人を主軸に考えた、“毎年ブレないおいしさのお米”をこれからも作っていきたいです」と話す。宮澤家で代々受け継がれてきた“冷めてもおいしいお米”は日々進化を遂げながら、こうして毎年食べた人を笑顔にしている。

経験と学びを無駄にせず、“夢”を与える存在に

“毎年ブレないおいしさのお米”を届ける宮澤さんの今後の目標は、これまでの経験で培った栽培方法を次の世代に繋げること。そのためには就農者を増やすことも大切だと考える。宮澤さんの会社のマークはひらがなの“みやざわ”を“夢”という漢字に当てはめて描いてある。将来の夢を聞かれたら野球選手やサッカー選手、YouTuberと言う子供達が多いように、いつか農家さんのお仕事を「ドローンや大きい機械を操ってかっこいい、“夢”がいっぱい詰まったお仕事」と憧れの存在にしたいと考える。そのために宮澤さんは現在、自然相手の農家さんもプライベートの時間を持つことができるように社内の働き方の改善を行っている。例えば、従業員さんに週2日休みを取ってもらうことができるように体制を整える。また今年の夏はお盆休みを全社的に作るために、忙しい時期を分散するなどの工夫をした。こうすることで農家さんという職業に魅力を感じて就農者も増えるのではないか、と宮澤さんは考える。

就農者が増えたら、まずは代々受け継がれるお米づくりの基礎を継承する。その後はお父さんにご自身がしてもらったように“自由にやらせる”ことを大切にしたいと考えておられる。ご自身で考えて挑戦していた時期も宮澤さんにとって大切な時期だった。これまでの経験と学びを全て無駄にしない宮澤さんは、今日も米袋に未来の農業への“夢”を詰め込む。

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【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
三ツ星日本米穀商連合会認定お米マイスター取得

広島女学院大学栄養学科を卒業後、米卸業者に就職。同社で社長秘書・広報・営業とマルチに活躍。上京後、米麹や日本酒などの米加工食品について学ぶ。現在は「お米ライター」として、お米そのものから米加工食品まで、お米の魅力を発信し続けている。ライターの傍ら、お米由来の化粧品・米麹甘酒の広報支援やお米のECサービス、日本酒新ブランドの立ち上げに携わるなど、お米のマーケティング支援においても幅広く活動中。

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