「百回笑えるのが百姓」ー「お米番付2022」優秀賞 湯田 裕樹さん

「百回笑えるのが百姓」ー「お米番付2022」優秀賞 湯田 裕樹さん

最終更新日:2023-11-02

人の五感で「甘い」と感じるお米を選ぶ、お米番付。今年優秀賞を受賞したのは、福島県南会津郡で栽培された湯田裕樹さんのゆうだい21だった。決して楽しいことばかりだけではないお米づくりを続けられる湯田さんのエネルギーの源は、お客様からいただく“おいしい”の一言だった。

お米づくりに適した高冷地

 春夏秋冬がはっきりと分かれた気候の福島県南会津郡。今回優秀賞を受賞したゆうだい21はその標高500~750mで育った。地球温暖化の影響により、高冷地の方が更にお米づくりに適するようになってきたそうだ。春になると軟水の雪解け水が田んぼに流れ込み、これもおいしいお米づくりに欠かせない。湯田さんはこの他に栃木県などでもお米を育てられているが、この福島県南会津郡は一番おいしいお米づくりに適した環境なのだそうだ。

来年度の刺激をもらった、お米番付2022

 湯田さんがお米番付に応募した動機は、食のプロであるミシュラン星付きシェフは、自身のお米を口にしてどのような感想を持つのか気になったから。最優秀賞に届かなかったことに「率直に悔しいです!」と歯を食いしばりながらも笑顔で答える。一方最優秀賞に選ばれたのは、湯田さんが以前から気になっていた品種のゆきさやか。ちょうど湯田さんは表彰式の直前に、来年に向けてこのゆきさやかの栽培準備を開始していた。お米番付2022の結果を受けて、来年度に向けたおいしいお米づくりへの意欲も更に湧いてきたそうだ。

複数品種のお米を育て続ける理由

 来年度からゆきさやかの栽培も始めると、湯田さんの田んぼでは13品種も栽培していることとなる。管理が大変な複数品種の栽培を続ける理由は、お客様からの“前に食べたあのお米がまた食べたい”という要望に応えるため。湯田さんのお米は“一度食べたらやみつきになる”と言われることが多い。普段お肉を食べる人、お魚を食べる人、ぞれぞれの食生活習慣によって好みのお米は少しずつ違う。全てのお客様の好みに応え続けるためには、栽培品種を減らすことはできないそうだ。

お客様の“おいしい”が原動力

 湯田さんがお米づくりを始めたきっかけは、同じ福島県の農家さんのお話を聞いたことだった。「自分もお客様から“おいしい”と言ってもらえる喜びを味わいたい」と思うようになり就農した。しかしその後一度、農薬の飛散により体調不良になってしまったそう。退院後はおいしいだけではなく、安心して食べることができる無農薬のお米をづくりにより注力するようになった。

 農薬の使用を控えると不思議とお米自体の甘みが増え、お客様から“おいしい”と言われることが多くなったそうだ。実際、今回優秀賞を受賞した無農薬栽培のゆうだい21は普通栽培に比べて、上品ながらもさっぱりとした甘みに仕上がった。お客様の言葉は湯田さんの原動力だ。「大変なことが沢山あるけれど、お客様から“またお願いします”と言われるとやめられないです」と語る。

お米づくりを続ける理由

日本人の多くが毎日食べるお米。湯田さんは日本人の命を繋いできたお米づくりを愛してやまない。“米”という字は“八十八”と書き、その収穫までには数えきれないほどの手間もかかると言われる。実際湯田さんご自身も、辛い体調不良を経験した。それを乗り越えても尚、お米づくりを続けるのはお客様からの“おいしい”の一言があるから。「百回笑えるのが百姓なんです。これからもお米づくりを死ぬ気で続けていきたいと思います。」と熱い胸の内を語ってくださった。

6月3日(土)から6月4日(日)まで、米料亭 八代目儀兵衛、京都祇園と東京銀座の両店舗にて湯田さんのゆうだい21が提供される。一度食べるとやみつきになると評判の湯田さんのご飯を炊き立てで是非体験して欲しい。

【執筆者プロフィール】

荻野 奈々果
お米ライター/栄養士
三ツ星日本米穀商連合会認定お米マイスター取得

広島女学院大学栄養学科を卒業後、米卸業者に就職。同社で社長秘書・広報・営業とマルチに活躍。上京後、米麹や日本酒などの米加工食品について学ぶ。現在は「お米ライター」として、お米そのものから米加工食品まで、お米の魅力を発信し続けている。ライターの傍ら、お米由来の化粧品・米麹甘酒の広報支援やお米のECサービス、日本酒新ブランドの立ち上げに携わるなど、お米のマーケティング支援においても幅広く活動中。

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