最終更新日:2022-12-10
年忌法要は、命日から満 1 年目の「一周忌法要」が最初ですが、いつまで行えば良いのでしょうか?続けてきた法事をやめるタイミングを迷う方も多いことでしょう。
今回は、年忌法要をいつまで行うのかということについて、命日から数える法事の種類やマナーとともにマナー講師が解説します。
年忌法要とは
年忌法要はいつまでやるべき?
真言宗の場合
曹洞宗の場合
臨済宗の場合
日蓮宗の場合
浄土真宗の場合
神式の場合
キリスト教の場合
年忌法要の種類と年忌法要を行う年の数え方について
一周忌
三回忌
七回忌
十三回忌
十七回忌
二十三回忌、二十五回忌、二十七回忌
三十三回忌
年忌法要の基本的なマナー(主催側)
年忌法要のマナー(1)準備
年忌法要のマナー(2)引き出物の選び方・包み方について
年忌法要のマナー(3)服装
年忌法要の基本的なマナー(参列側)
年忌法要のマナー(1)出欠の連絡
年忌法要のマナー(2)服装
年忌法要のマナー(3)金封の金額や表書きなどについて
年忌法要のマナー(4)お供えの選び方・金額などについて
まとめ
年忌法要とは
仏教では、葬儀のあと、亡くなった日から忌明けまでの7日目ごとに法要を行い、故人の冥福を祈ります。これを「忌日法要」といい、忌日法要は「百か日法要」まで続きます。
その後は、死亡して1年後の一周忌法要が最初の法要です。この一周忌法要からは「年」ごとの法要となるため、「年忌法要」と呼び方が変わります。年忌法要とは、僧侶による読経や参列者による焼香などが行われる、故人の冥福を祈り供養する仏教行事のこと。数年にわたって続けられるのが一般的です。
年忌法要はいつまでやるべき?
年忌法要は、死亡後32年目に行う三十三回忌を以て打ち切ることが一般的です。それ以後も法要をつとめる場合は、50年おきに実施します。五十回忌、百回忌をする宗派もあります。
最後の年忌法要は「弔い上げ」といい、比較的大規模な法要を行います。宗派や宗旨にもよりますが、「弔い上げ」は多少めでたい意味合いも含む特別な法要です。これは長い年数をかけて供養すると、どの魂も極楽往生し、ご先祖になるという考え方に基づいています。
真言宗の場合
十七回忌の後は、二十三回忌と二十七回忌を省いて二十五回忌を行い、三十三回忌で弔い上げとします。その後さらに、五十回忌、百回忌をする場合もあります。
曹洞宗の場合
十七回忌の後に、二十五回忌を行い、三十三回忌で弔い上げとします。地域やお寺によっては、二十五回忌の代わりに、二十三回忌と二十七回忌を行う場合もあります。また、真言宗と同様、三十三回忌の後に、五十回忌、百回忌をする場合もあります。
臨済宗の場合
十七回忌の後に、二十三回忌と二十五回忌を行う地域と二十七回忌のみ行う地域がありますが、どちらも弔い上げは三十三回忌です。五十回忌、百回忌は行いません。
日蓮宗の場合
十七回忌の後、二十三回忌と二十七回忌を行う場合と、十七回忌の後は二十五回忌のみ行う場合があります。日蓮宗には弔い上げの考え方はありません。そのため、法要を執り行う人が亡くなるまで行うとされます。とはいえ他宗派と同様、一般的には三十三回忌を弔い上げとする場合が多いようです。
浄土真宗の場合
浄土真宗では、人は死後すぐに極楽浄土に行くと考えます。そのため、年忌法要は故人の供養のためではなく、親族や知人友人が集い、故人を偲ぶための法事といえます。この法事も他の多くの宗派と同様、三十三回忌で終わりにするのが一般的です。
神式の場合
仏教の忌日法要にあたるものを「霊祭(れいさい、みたままつり、たままつり)」、年忌法要にあたるものを「式年祭」といいます。
死後50日までは10日ごとに行われ、五十日祭のあとは、百日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭と続きます。以降10年ごとに行われ五十年祭をひと区切りとしますが、十年祭の後は省略化される傾向にあるようです。
キリスト教の場合
仏式の法要にあたるのが、カトリックでは「追悼ミサ」、プロテスタントでは「記念式」です。キリスト教には、供養という概念はないので、法要という意味合いとは違ってきます。
カトリックの追悼ミサは、亡くなった日から3日目、7日目、30日目、1年目以降の昇天記念日に追悼ミサを実施します。特に決まりはありませんが、3年目や7年目などに行うことが多いようです。
プロテスタントの記念式は、亡くなって1か月目の召天記念日に記念式を行うほかは、特に決まりはありません。たいていは1年目、3年目、7年目に記念式を行うことが多いようです。
年忌法要の種類と年忌法要を行う年の数え方について
年忌法要は、故人の祥月命日(故人の命日と同じ月同じ日のこと。毎年めぐってくる)に行う法要の中でも、決められた年度に行う特別な法要です。仏教で重要とされる、3と7の数字の年忌に行われます。
本来、年忌法要は祥月命日に実施するものですが、祥月命日が平日の場合は、参列者の都合を考え、土日祝日に変更して実施することも可能です。その場合は、命日よりも早い日取りで行います。
一周忌
死後満1年目、つまり死亡した翌年の祥月命日をいいます。周忌という言い方は、一周忌のみです。これより後の年忌法要は「●回忌」となります。
親族にとって、喪明けとなる区切りの法要であるため、やや大がかりな法要になるのが一般的です。親戚や友人、知人など、四十九日に参列した方を招待して行います。
三回忌
三回忌は、死後満2年目の祥月命日をいいます。これは、死亡した日を一回目の忌日=一回忌と考えるためです。これ以降はすべて「●回忌」といいます。
三回忌は、一周忌と同様に重要な法要のため、親戚、友人、知人を招待して行います。
七回忌
亡くなってから満6年経った七回忌。七回忌からは法要に招待する人数を絞り、規模を小さくしていくのが一般的です。家族や親族のみで法要を済ませるケースが増えるのも、この七回忌からです。
十三回忌
十三回忌は、死後満12年目に行います。家族だけで供養するのが一般的です。さらに十三回忌からは、法要を併修するのも可能とされます。
併修とは、何人かの故人の年忌法要を併せて行うこと。例えば2~3年の間に、祖父の十七回忌と祖母の十三回忌があるような場合に併修することができます。法要は、亡くなってからの年数が浅いほうの命日に合わせて執り行います。ただし、一周忌から七回忌までの法要を併修してはいけません。
十七回忌
十七回忌は、死後満16年目に行います。家族だけで供養します。省略する場合もあります。
二十三回忌、二十五回忌、二十七回忌
二十三回忌と二十七回忌、または二十五回忌のみを実施するなど、地域や宗派により違います。いずれも家族だけで供養します。
三十三回忌
三十三回忌は、死後満32年目に行う法要です。ほとんどの場合、この三十三回忌法要を以て弔い上げとし、年忌法要を終了します。これだけの年数が経つと、故人のことを知る方々もご高齢になり、参列が困難になることも。そのため、三十三回忌法要は、家族だけで供養することが多いようです。
しかし一方で、最後の年忌法要だからと、故人にゆかりのある方々を招待して大がかりに営む場合もあります。はっきりとした決まりはありません。家族で相談してベストと思われる方法で供養すると良いでしょう。
年忌法要の基本的なマナー(主催側)
ここからは年忌法要の基本的なマナーを見ていきましょう。まずは、主催者側のマナーです。
年忌法要のマナー(1)準備
一周忌、三回忌は、やや大がかりな法要になるのが一般的です。招待する人数も多くなるので、事前の準備が重要です。
①日程を決める
祥月命日より前の土・日・祝日をいくつか候補として挙げ、法要を依頼する僧侶の都合を確かめて日程を決めます。
②場所を決める
法要と、その後の会食=お斎(おとき)の場所を決めます。
・法要と会食を別の場所で実施し、法要のみを自宅やお寺、墓所で行い、その後ホテルや料亭で会食をする。
・法要から会食までを自宅、お寺、セレモニーホールなど同じ場所で実施する。
このいずれかで場所を決めましょう。一周忌、三回忌は大がかりに、七回忌からは規模を縮小するのが一般的。場所は招待する人数に合わせると良いでしょう。
③参列者への案内をする
一周忌、三回忌には、四十九日に参列してもらった方々を中心にお招きします。往復葉書や返信用はがきを同封した封書など、書面でお知らせするのが正式です。しかし、親戚や親しい友人のみであれば、普段使用する連絡手段を用いてお知らせしても良いでしょう。大事なのは、法要の日程を早く正確にお知らせすることです。
④引き出物を準備する
参列者へのお礼として引き出物の準備が必要です。出席人数よりも2~3個多めに準備するのがポイントです。
年忌法要のマナー(2)引き出物の選び方・包み方について
引き出物は、食料品や消耗品などの「消えもの」が良いでしょう。弔事全般でNGとされるもの以外を選んでください。
具体的には、生の魚や肉などを避け、誰からも喜ばれ好き嫌いのないお米やお茶、和菓子などを選びます。また、タオルやハンカチなども良いでしょう。
年忌法要の引き出物は、熨斗のついていない掛け紙を使います。表書きは「粗供養」か「志」。このとき、右上に「亡 ●●」と故人の名を入れる場合もあります。水引は、白黒か白黄の結び切りです。下半分には施主の苗字を入れます。
年忌法要のマナー(3)服装
施主側の服装としては、一周忌、三回忌までは喪服で法要に臨むのがしきたりですが、七回忌からは地味な平服であれば喪服でなくて構いません。
年忌法要の基本的なマナー(参列側)
続いて、年忌法要に参列する側のマナーです。
年忌法要のマナー(1)出欠の連絡
年忌法要のご案内をもらったら、できるだけ早く出欠のお返事をしましょう。年忌法要は、故人を偲び供養する機会です。なにをおいても参列できるよう、スケジュールを調整しましょう。
それでもどうしても欠席せざるを得ない場合は、別途「御仏前」としてお供えを送るか、後日訪問して仏壇にお参りさせて頂くなどの心遣いが必要です。
年忌法要のマナー(2)服装
一周忌、三回忌までは、参列側も喪服を着用するのがマナーです。七回忌以降は、喪服ではなく地味な平服で問題ありません。
・男性:ダークスーツに地味なネクタイ
・女性:落ち着いた色のスーツにブラウス、飾りの少ないワンピースなど、上下が同素材のものを選びましょう。
年忌法要のマナー(3)金封の金額や表書きなどについて
法要に参列する際は、金封かお供物を持参します。金額は、葬儀の際の香典の半額程度を目安にしますが、その金額に法要後の会食分程度の金額を上乗せするのが一般的です。
表書きは、御仏前・御佛前・御供料・御香料と書きます。熨斗のない掛け紙で、白黒か白黄の水引を結び切りで準備しましょう。
年忌法要のマナー(4)お供えの選び方・金額などについて
お供え物の金額は、金封と同様、葬儀の香典の半額を目安にします。ただし、お供え物を台として準備し、金封と併せて持参するという方法もあります。その場合は、切りの良い金額で金封を準備し、差額を品物で準備すると良いでしょう。
お供えを選ぶ際には、弔事であることを基準に考えます。弔事では「消えもの」、つまり食べてなくなるもの、使ってなくなるものが良いとされます。具体的には、次のものがお勧めです。
①お米
好き嫌いがないこと、どなたにも喜ばれることが利点です。加えて「高品質のものを少し」という昨今の特別志向にマッチしたお米であれば、お供えに選んでも間違いない品のひとつです。
②和菓子・洋菓子
種類が豊富なので、選択肢が多くあるのが利点です。賞味期限の長いものを選ぶのがポイントです。
③ドリンク類
コーヒー、紅茶、野菜ジュース、果実ジュース、健康飲料など、種類が豊富な点や、お供えした際の見栄えや賞味期限が長いことなどが利点です。
まとめ
一周忌から弔い上げまで、年忌法要をきちんと実施して最後の法要を迎えることは、故人にとっても、故人にご縁のある方々にとっても幸せなことです。年忌法要は、法要を執り行う家族に何かがあれば、たちまち立ち行かなくなるからです。実際、五十回忌のお供えでは、お祝いの意味から、掛け紙に紅白結び切りで準備する地域もあります。さまざまなしきたりが簡素化される時代ですが、年忌法要も日本文化のひとつとして、今後に継承していくことが望まれます。
法要のお供物や引き出物選びに迷った際は、こちらをご覧ください。お使いものに最適のお米が掲載されています。