『母との対話をくれたお供え物』-プロと実体験から考えるお葬式 vol.3 お供え物編

『母との対話をくれたお供え物』-プロと実体験から考えるお葬式 vol.3 お供え物編

八代目儀兵衛当主・橋本隆志が母を亡くしたのは、2021年4月のことでした。初めて喪主側で運営するお葬式(喪主は父)では、たくさんの疑問や戸惑いに出会いました。この連載では、橋本の実体験を振り返り、プロからのアドバイスと共にお葬式のリアルをお伝えします。今回は、故人へいただく「お供え物」についてのお話です。

橋本隆志

八代目儀兵衛当主。ガンを患った母を、2021年4月に亡くした。姉と弟がいる長男で、家業の当主でもあったことから、喪主の父を支えながらお葬式を執り行った。大人になってから初めてのお葬式で戸惑うことも多かったが、岡田さんのフォローで満足いくお葬式を上げることができた。

株式会社公益社 岡田裕章さん

橋本家の葬儀全般をサポート。細やかなフォローと気遣いで遺族を支える。この記事では、実体験にプロの立場からアドバイスをいただく。

お供え物を通じて、母と対話する日々

橋本先ほどはお香典の話をしましたが、その他にも母への気持ちをたくさんの形でお寄せいただきました。弔電や供花、そしてお供え物も本当にありがたかったです。

岡田:そうですね。葬儀の場では、色々な形で皆様の思いを受け取ることになります。

橋本:特にお供え物に関しては、母の好みのものをご用意くださった方もいらっしゃいました。きっとこれからも母のことを覚えていてくださるだろうと、とても嬉しくなりましたね。

岡田:そうですね。お香典や供花とは違い、お供え物には定番はあるものの、くださる方がお品をご自身で選びます。ですので、一番故人様への思いを反映しやすい形なのかもしれませんね。

橋本:1ついただくたびに、母に語りかけながらお供えします。これはあの方からもらったよ、これは生前大好きだったものだね、と。お下がりするときにも、「ありがとう。いただくね」と声をかけたり。話のきっかけになるというか、お供え物を通じて母と対話ができるんだなと。

岡田:お母様と向き合う時間になっているんですね。

橋本:いただいたお供え物の他に、自分たちでも陰膳を準備したり、お花や水を取り替えたりしますよね。そのときも、自然と母と対話していました。今頃、母もごはんを食べてるのかなぁ、とか想像したりして。

特に多くいただいたお供え物

橋本:先程、お供え物には定番があるっておっしゃってましたが、例えばどういうものがあるんでしょうか?

岡田:たとえば仏式においては、故人様に「お香・お花・ろうそく・浄水・飲食物」を捧げる「五供(ごくう)」の考えがあります。そのため、一般的にはお線香や果物・お菓子などが多いですね。

橋本:そうなんですか。その五供の中に「お香」とあるから、お線香をたくさんいただくんですね。私たちの場合は、お線香を一番多くもらったかもしれません。

岡田:故人様に手を合わせるときにはお線香を使いますからね。心からの弔いを形にして、なおかつ必要になるものを、ということで、お線香を贈ることが定番になったのだと思います。

そもそもお香典も、元々は線香を包んでいたものが、それを購入するための現金へと形を変えたものです。ですので、五供の一つと考えることもできますね。

橋本:お線香って言うのは、それくらい故人の弔いのために大切ってことなんでしょうか。

岡田:お香は、四十九日であちらへ旅立つまで、故人様のお食事になると考えられています。なので四十九日までのあいだ、なるべく線香を絶やさないようにする宗派や地域もあるんですよ。

橋本:そんな意味もあったんですか。じゃあ母は、たくさんの方から食事をご用意いただけたんですね。ありがたい話です。

岡田:お母様も、安心して旅立てたのではないでしょうか。

橋本:けれど、正直なところ、お線香は本当にたくさんいただいたので……。今でも、使いきれず余っているくらいなんです。せっかくいただいたので、きちんと母に供えたいんですが、一度に大量に消費できるものでもないですしね……。

岡田:仏式の場合は皆様、お線香をたくさんいただくことになると思います。使いきれないという声は多く聞かれますね。伝統を重んじる方は「やはりお線香に……」とお考えになるでしょうが、もっと自由にお選びいただいてもいいと思います。

プロからのアドバイス

仏式の葬儀でいただくお供え物の定番はお線香です。使いきれないほどいただくとの声が多く聞かれます。他のものを選んだり、より上質なものを選ぶなど、選び方にもひと工夫あると喜ばれますよ。

お下がりとして配るときにありがたかったもの

岡田:お供え物は、故人様にお供えをしてから、皆様に「お下がり」としてお配りすることになると思います。そういう点から、お品選びについてアドバイスさせていただくこともありますね。

橋本:そうですね。初七日(しょなのか/しょなぬか)や三七日(みつなのか/みつなぬか)のタイミングでお下がりを分け合ったのですが、そのときに特に助かったものが「小分けになっているもの」でした。袋をそのまま分ければ良かったので、特段手間がいらなかったんです。

岡田:お供え物についてご相談があった際、私たちも、まず小分けになっているものをおすすめしています。また、なるべく賞味期限の長いものもおすすめしています。

橋本:賞味期限の長いものも助かりますね! 確かに、果物や小分けできない生菓子などは、その場で切り分けるわけにも限界があるし、日持ちもするわけではないし……と、少し困ってしまった部分はありました。もちろん身内でありがたくいただきましたが、お分けするとなると難しかったですね。

岡田:法事に来てくださった方と分け合えるのが一番いいですからね。

橋本:ええ、多くの人と笑顔を分かち合うのが大好きな母でしたから、お下がりも多くの人と分かち合えるといいなと思いまして。私もこれからお供え物をお渡しする場合には、小分けできて日持ちをするものを選ぶつもりです。

プロからのアドバイス

いただいたお供え物は、故人様にお供えした後、「お下がり」としていただきます。法事のタイミングでは、出席してくださった方にもお下がりをお配りしましょう。あらかじめ人数分の袋を用意しておくとスムーズです。

お下がりとしてお分けするものは、食べ物が多いです。取り扱いには注意してください。冷蔵保存が必要なものや持ち帰りづらいものは、可能ならその場で召し上がっていただくといいでしょう。ですが、無理して全てをお分けする必要はありません。

いただく立場になって気付いたお米のお供え

橋本:これはちょっと手前味噌な話になってしまうかもしれないんですが、お供え物に米ってありだなとも思いました。

岡田:八代目儀兵衛様ではお米のギフトを扱っていらっしゃるんですよね。

橋本:前々から法事専門ギフトシリーズ「偲」というのを扱ってまして、香典返しにはこれを使うことを決めてたんです。でも、毎日陰膳を準備する中で、お供え物としてお米を贈っていただくのもいいのかもしれないと思いまして。

岡田:なるほど。お米は日常で消費するものですし、陰膳はもちろん、仏飯にも使えますね。神式の場合でも神棚に洗米をお供えすることがあるので、すごく良さそうです。ただ一つ心配なのが、お下がりを考えたときに小分けがしづらいかと……

橋本:八代目儀兵衛のギフト米はほとんどが2合サイズで小分けにしてあるので、その辺りも大丈夫だと思います。こんな感じですね。

【偲】満(お米2合×12種) 5,400円(税込)

岡田:本当ですね。2合を一包み持ち帰るのであれば大して重くもないですし、お持ち帰りも簡単ですね。

橋本:もちろん、お供え物に米が浮かんだのは、母は米屋の人間で、うちの米が大好きだったからって言う前提があります。けれど、それを抜いても、米をもらって困る人はあまりいないでしょうから、その点からも向いているかと思いました。

岡田:ええ、お米というのはいい選択肢ですね。お供え物は基本的に消え物(※消費してなくなるもの)を選びます。故人様への気持ちが伝わり、小分けになっていて日持ちのするものであれば、今ポピュラーなものでなくても適した品と言えますね。

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