『胸を張って贈れる品を』-プロと実体験から考えるお葬式 vol.5 香典返しの選び方・贈り方編

『胸を張って贈れる品を』-プロと実体験から考えるお葬式 vol.5 香典返しの選び方・贈り方編

最終更新日 2022-04-03
公開日 2021-08-23

八代目儀兵衛当主・橋本隆志が母を亡くしたのは、2021年4月のことでした。初めて喪主側で運営するお葬式(喪主は父)では、たくさんの疑問や戸惑いに出会いました。この連載では、橋本の実体験を振り返り、プロからのアドバイスと共にお葬式のリアルをお伝えします。今回は香典返しについてのお話です。

橋本隆志

八代目儀兵衛当主。ガンを患った母を、2021年4月に亡くした。姉と弟がいる長男で、家業の当主でもあったことから、喪主の父を支えながらお葬式を執り行った。大人になってから初めてのお葬式で戸惑うことも多かったが、岡田さんのフォローで満足いくお葬式を上げることができた。

株式会社公益社 岡田裕章さん

橋本家の葬儀全般をサポート。細やかなフォローと気遣いで遺族を支える。この記事では、実体験にプロの立場からアドバイスをいただく。

気持ちの伝わる贈り物は、これ以外にない

岡田:四十九日法要を過ぎたらご供養は一段落し、香典返しをお贈りします。どういった物が喜んでいただけるのか、どういったものを選ぶべきか、私どもも相談を受けることがありますね。

橋本:一般的にはそうですよね。そう考えると、私たちはちょっと特殊かもしれません。

岡田:お店で法事専門の商品を扱ってるんですよね。

橋本:そうなんです。うちは代々続く米屋なんですが、私の代からはギフト販売にも力を入れていて。多様なお客様のご要望に応える形で、法事専門ギフトシリーズ「偲」を開発しました。

私たちが目利きした米は、全国の農家さんから仕入れた選りすぐりの甘い米です。どの農家さんも誠実な米作りをしていて、私たちはそれを最高の形でお客様にお届けすることを使命としてきました。うちの商品は、家族の誇りでもあります。

当然、母もうちの米が大好きでした。母らしさも出しつつも感謝の気持ちを伝えるためには、うちの商品以外の選択肢はなかったんです。

香典返しに適した品とは

岡田:それなら迷いがないのは当然ですね。ただ、一般的には香典返しの品物選びに迷われる方が多いです。

橋本:どんなことを迷われているんでしょうか。

岡田:そうですね。何を贈るかもそうなんですが、それ以前に「何が適しているのか知りたい」ということもあるようです。

橋本:商品開発をする上で、その辺りのことは勉強しました。「日常生活で消費するもの」で「食品の場合は小分けされているもの」が良いとされていますよね。

米は日常生活で消費するもの。それに、うちのギフト商品は元々、2合サイズに小分けしてあるものがほとんどです。偶然にも香典返し商品に求められるものと一致していたので、落ち着いた色合いの包みを使うなどして、商品開発をしました。

商品例 【偲】凛(お米2合×3種) 3,240円(税込)

人気の料理米3種を花包みにしました。【偲】凛(お米2合×3種)の詳細はこちら。

岡田:お米は誰しもが使うもので相手を選びませんし、小分けになっていて使いやすいので、確かに好適品と言えますね。今まではあまりお米という発想はなかったですが、とてもいいと思います

橋本:お墨付きをいただけて嬉しい限りです。

岡田:お米については問題ありませんが、逆に避けるべき品物もあります。形の残るものや祝い事に使われるもの、殺生を連想させる肉や魚などです。

橋本:色々な選択肢を考えている場合は、うっかりそういったものを選んでしまわないよう、注意しなければいけませんね。

私たちの場合も基本は自社の米ギフトを香典返しに選んだのですが、同業者にだけは他のものを検討しました。米屋さんに米を贈るのは、ちょっと違うかなと思ったので……。最終的に、お米に関するものということで地元の佃煮などをお贈りしました。食品だと殺生につながるものが結構あるので、特に意識しましたね。

岡田:お礼の気持ちを伝えるうえでは、ある程度マナーを守った品選びをする必要があります。ただ、選ぶべき品物、避けるべき品物と明確な基準はあるので、そこさえ守れば自由にお品を選んでいただいていいと思います。

プロからのアドバイス

香典返しの品物には「消えもの」を選びましょう。適しているのは、日常生活で食べたり使ったりして消費できるものです。食品なら劣化しにくいように小分けになっているもの・日持ちのするものが特に喜ばれます。

逆に、香典返しの品物として不適切なものは以下の通りです。
●四つ足生臭もの(殺生を連想させるお肉・お魚など)
●お祝いの意味を持つもの(お酒などの嗜好品や、鰹節など)
●形に残るもの(不祝儀を残さないように)

贈る側になって気が付いた、オンライン一括発注の便利さ

橋本:今まで、プロからご指導をいただいたり、お客様の声にお応えする形で法事専門シリーズ「偲」をどんどんブラッシュアップしてきました。改めて今回自分で使ってみることになったんですが、オンラインで一括発注することの便利さを実感しましたね。

岡田:香典返しの品物の探し方も、昔とは変わりましたからね。店舗に実際に出向かなくても、オンラインで全て完結できるので、それほど気負う必要もなくなりました。

橋本:忌明けを迎えたからと言って、喪失感や悲しみを完全に振り切れるわけじゃありません。なんとか日常を取り戻そうとする日々の中で、香典返しで必要以上に悩むのは大変なことだと思います。できるだけ楽に注文を済ませられるのが大事だと、身をもって感じました。

岡田:その通りだと思います。

橋本:ネットショップは、実際に店舗に出向く必要がないという点ももちろんなのですが、何よりすべての注文を簡単に管理できることが便利ですね。

特にお贈りする人数が増えると、「1件注文をし忘れていた」とか何らかのミスが出てくるもの。そのときに、色んなところで注文をしていると大変です。何かあっても少ない手間で対応できるように、1ヵ所でまとめて注文することが大事だと思いました。

岡田:1ヵ所でまとめると確かに楽ですね。その場合気を付けたいのは、商品の金額帯です。お香典は基本的にはいただいた金額の半分相当の品をお返しします。様々な額でいただきますから、なるべく広い金額をカバーしているところを選ぶ必要がありますね。

橋本:うちは1,000円台~15,000円を超える高額商品まで扱っているので、ほとんどがカバー出来ました。いただいたお声から改良を重ねた商品なので、使いやすく仕上がったんだと思います。お客様に育てていただいたようなものなので、本当にありがたいですね。自分のところで商売をしていなくて、1から探すことになっていたら、負担に感じていたかもしれません。

岡田:軸として据えたものが「お米」だったのも良かったと思いますね。お米は誰にでも使っていただけるし、相手によってお品を変える必要がありませんから、かなり労力が簡略化されたと思います。

プロからのアドバイス

昔と違い、今はオンラインで品選びからお届けまで完結できるようになりました。ぜひ活用してみてください。

香典返しの品は、基本的にいただいたお香典の半額のものを探します。いわゆる半返しですね。お香典でいただく金額は様々なので、香典返しを手配する際には、なるべく多くの金額帯をカバーしているところを選ぶといいと思います。1ヵ所で済ませると、何か変更があっても柔軟に対応できますよ。

また、品選びに悩む場合には「5000円のお返しは全てこれ」「全ての方に米を贈る」など、金額や品物で一定の基準を設けると楽になります。

八代目儀兵衛の法事専用ギフトシリーズ「偲」

3000円~の商品はこちら

5000円~の商品はこちら

10000円~の商品はこちら

香典返しにまつわる送料の話

岡田:香典返しの品選びについては私たち葬儀社というより、八代目儀兵衛さんのようなギフトを扱うお店の方の方が詳しいので、そういった方にご相談いただくのがいいと思います。

橋本:そうですね。やはり香典返しについて不安な方は多いため、弊社では品選びからマナーまで、ご相談いただける体制を取っています。実際に対面で話せるサロンもありますし、お問い合わせフォームはもちろん、最近では気軽にご利用いただけるよう、LINEアカウントでもご相談を承っています。

岡田:さすが、ギフトに精通しておられるんですね。

橋本:お葬式の運営は初めてだったんですが、ギフトの方はお客様にお喜びいただくため、以前より勉強を怠らないようにしています。おかげでスタッフ含め、ギフト関係のマナーには本当に詳しくなりました。

とはいえ、今日こうして改めて岡田さんに「米は香典返しに向いています」と言ってもらえてホッとしているところです。

岡田:品物を選ぶときには、やはり実際に扱う業者さんに聞くのが一番早いですね。

橋本:ぜひ頼っていただきたいです。ただ、やはりマナーには正解のないことも多いですから……。たとえば「半返しの金額は、品物だけで考えますか? それとも送料も込みでしょうか?」という質問をいただくことがあります。岡田さんとしてはどうお考えですか?

岡田:そうですね。こちらとしてもやはり一般的には……という答え方しかできないのですが、無難なのは品物代だけで半返しとすることではないでしょうか。

ただ、状況によっては送料や消費税を含んで半返しでもいいのではないか、もしくはもっと負担割合を減らしても、ともお声かけしています。お香典には、当座現金が必要になったおうちに……という意味合いもありますので、無理をしてまで品代だけでの半返しを、とは言いません。

橋本:私たちとして一番避けたいのは、礼を欠いているとお相手様に思われてしまうことです。ですので、できるだけ品物代だけでの半返しをおすすめするようにいています。特に目上の方だと、「品物代だけで半返しが当たり前」な世代だったりもするので、念には念を、という感じですね。

実際に、うちを利用していただいているお客様は品代だけでの半返しを希望される方が多いですね。

岡田:ご自身の状況や、お相手様との関係にもよるというところですね。

プロからのアドバイス

香典返しを品代だけで半返しとするか、送料も含めて半返しとするかは、状況や個々人の判断にゆだねるところが大きいです。基本的には、無理をしてまで半返しにこだわる必要はありません。ただ、万一にも失礼があってはならない相手には品代だけで半返しとするのが間違いないでしょう。

隅々まで礼を尽くすために

橋本:私たちはお客様の気持ちをお届けする大事な役割を担っています。隅々まで礼を尽くした贈り物となるよう、デザインや色などにもこだわっています。当然、包み方や、中に添える挨拶状・実際にお持ちになる際の手提げ袋まで取り揃えているので、マナーに不安がある方にもぜひ頼っていただきたいところです。

岡田:香典返しなんて慣れるようなことじゃないですし、そこまで徹底してサポートしてもらえるのはいいですね。

橋本:あわせて、どなたでも無料でご覧いただけるWebカタログ「お香典返しのしおり」も公開しています。聞いていただければ何でもお答えしますが、まずは取っ掛かりがないと質問もしづらいでしょうから。

岡田:なるほど。香典返しを贈るタイミングから、使う水引や掛け紙の種類、挨拶状の例文まで網羅されていますね。宗教ごとの違いもまとめられていて、充実していますね。

橋本:ありがとうございます。とはいっても、やはりケースバイケースですから、ご相談はいつでも受け付けています。また、お客様のご要望から学ぶことも多いんです。

プロからのアドバイス

香典返しの品を贈る際には、以下のことに気を付けましょう。

●あわび熨斗のない掛け紙を使う
●黒白、または黄白の結び切りを選ぶ
●表書きに用いる言葉は宗教ごとに違うので注意(どの宗教にも共通で使えるのは「志」)
●お礼を伝える挨拶状を同封する(手渡しの場合は直接お礼を伝えられるので不要)
●挨拶状は必ず封筒に入れる

自分の言葉でお礼を伝える

橋本:今回私達は会葬礼状(※葬儀に出席した方へのお礼状)を自作しました。そのことで、「自分たちの言葉でお礼を伝える」ことの価値の大きさに気付きましたね。

<作成した会葬礼状>※実際には縦書きです

晴れやかな笑顔で家族を照らしてくれた妻でした
商いをなりわいとする大家族に嫁いできて五十四年
さまざまな苦労もしたことでしょうに どんなときも笑顔で
乗り越えてくれました
いつも目の前の人のことを想い 直向きに行動するその姿は
息子たちの商売の原点にもなりました
『おきばりやす』と明るく声をかけ お客様や働く人たちに
愛された妻の笑顔を昨日のことのように思い出します
妻 橋本康子は令和三年四月十三日に七十七歳で旅立ちました
妻の実り多き生涯は妻と親しくしてくださった皆様のお力に
よって成り立っていたことと思います
生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げ略儀ながら
書状にてご挨拶申し上げます
ご多用の中 ご会葬賜りまして誠にありがとうございました

令和三年四月十五日(通夜)
      十六日(告別式)
喪主 橋本義秀
__________________________

株式会社八代目儀兵衛 

岡田:お母様のお人柄が伝わってきて、胸があたたかくなる文章です。

橋本:ありがとうございます。文章に明るい社員に声をかけて手伝ってもらい、手前味噌ながらいい仕上がりになりました。母のこと、母を支えてくれた人のことを思いながら、家族で何度も読み返しました。

岡田:お母様が家族にとってどんな存在だったか、周囲にどんな風に接していたか、ありありと思い浮かべられました。受け取った方々も、この会葬礼状を読んで、改めてお母様に思いを馳せてくださったんじゃないでしょうか。

橋本:こんな会葬礼状はもらったことがない。とてもいい文章だと、想像以上に、たくさんのお褒めの言葉をいただきました。その声をいただくことで、改めて母が愛されていたことを実感しましたね。やっぱり自分たちで紡いだ言葉はダイレクトに届くんだと強く感じました。

岡田:そうですね。やはり言葉は強いです。

橋本:この経験を、今後の八代目儀兵衛のサービスにも反映させていければと思っています。香典返しに同封する挨拶状のサービスをもっと強化していければ、と。私達が関わらせていただくのはそのタイミングがほとんどですから。

岡田:香典返しをお贈りするだけでも、十分にお礼の気持ちは伝わると思います。ただ、オリジナルの文章を添えると、より一層気持ちが伝わるでしょうね。

橋本:八代目儀兵衛では、定型文を入れた挨拶状を無料(※奉書紙タイプは有料)でご用意しています。今のところは一筆箋形式でのみオリジナルの文章に対応しているのですが、もっと利用しやすくできたらいいなぁと考えています。

葬儀に関する文章は制約はあるものの、意外と自由度が高いことも実感しましたし、自分たちらしく作りたいという声にも応えていきたいです。

岡田:そうですね。重ね言葉を使わないなど、文章作成の際に気を付けてほしいポイントはいくつかあります。ただ、身内の方が素直に綴ったお礼は、全て正解だと思います。せっかく自分たちの言葉で伝えるのですから、あまり肩ひじを張らず、思いをしっかり伝えてほしいです。

プロからのアドバイス

人柄はもちろん、戒名やその意味をお伝えしたい場合などにも、オリジナルの挨拶状はいいですね。ただ、作成の際には以下のようなことに気をつけください。

●句読点は使わない(スペースで代用)
●お祝い事を連想させる言葉を使わない
●重ね言葉を避ける(重ね重ね、いろいろなど繰り返す言葉)
●「逝去」は故人に対する敬意を込めた表現なので、身内からは使わない
●親族にも送るので、「親族一同」は使わない

次のテーマ:社葬と一般葬(家族葬)の違い

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